一番読み方の多い漢字と言えば、何かご存知でしょうか?
逆に、たった一通りの読み方しかない漢字は
「死」という漢字で「し」としか読みません
その対義語で、実は意味だけでなく対照的に
一番読み方の多い漢字は「生」です
例を挙げてみますと
音読みでは、人生・一生・誕生…
訓読みでは、生・生きる・生まれる・生い立ち・生える・生糸・
芝生・鈴生り・生垣・生憎・生粋・相生・丹生・壬生・生業・
桐生・羽生・麻生・早生・壬生川・竹生島・弥生…
一文字だけでも、幾通りもの読み方がありますが、
他の漢字と一緒になると、
もう幾通りの読み方、読ませ方があるのか
数えきれません
一説には150通り以上の読み方があるとも言われています
地名や人名などの固有名詞で「生」の漢字を
なぜそう読むのかよくわかりませんが
確かに言えることは
「生」という文字に込めた思いではないでしょうか
初宮のご祈祷の祝詞でよく使われる表現で
≪この現世(うつしよ)に生(あ)れ出(い)でしより・・・≫
という言葉があります
これは、単に「生まれた」という意味ではなく
神聖なものが、現れるという
重い意味が込められた言葉です
新しく母親になられたお母さんは
「赤ちゃんを生みました」とは言わず
「赤ちゃんが生まれました」と、おっしゃいます
「生」という言葉には
【この世に新しい命を戴いて生まれさせていただいた】
という感謝の思いが込められているのでしょう
だからこそ、
この文字を使った言葉が無数にあるのでしょう
「死」ぬのは一回だけですが
「生」は、人の数だけ
その読み方に込めた思いがあるのかもしれません
それほどに、
「生きる」ということが、
いかに複雑で悩み多いものであるのか
という事なのかもしれませんが、
生かされていることへの感謝の念を忘れず
日々を悔いなく過ごしたいものです