最終回となる第8回目は、三輪の今後の展望に焦点を当てます。

約10年をかけて、法曹界とメディア、両方の世界に足場を築いてきた三輪記子。今後は言論の世界に女性を増やし、政治や社会の問題に「楽しく怒る」表現の可能性を追求したいといいます。

 

●楽しく怒り、社会問題を共有する

 

ーー三輪さんのこれからの活動について、最後に伺っていきたいと思います。今後は、弁護士業を主軸に、メディア活動も続けていく、という認識で間違いないですか。

 それはもう、間違いなくそう。弁護士として離婚事件や相続事件を担当する中で、社会構造的な問題や、現行法のおかしさを感じる機会はたくさんあります。たとえ日々のニュースにはならないようなものであったとしても、自分自身が見聞きした感じたおかしさを言語化して人前で話す、というのが私の仕事だと思っています。

 そういう意味では、あくまでも弁護士が本業で、メディアのお仕事は副業ですね。

 

――弁護士業での展望を教えてください。

 依頼者に求められたことをコツコツとこなしていく、というスタンスは今後も変わりません。やっていきたいことがあるとしたら、会社関係のお仕事。たとえば社外取締役や社外監査役の業務なども、今お引き受けしているのですが、もう少し深めていきたいと思っています。労働やセクハラに関する案件にもこれまで色々と関わってきたので、その知見を活かしつつ、企業内の働きやすさやD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を広げていくことにお役立ちしたいと思っています。

 

――メディア出演で取り組んでみたいことはありますか。

 自分個人として活動を続けるのはもちろん、言論の世界に同世代の女性が増えればいいなと思っていて、まずは自分自身が実践しようと思っています。

 

 もともとトークライブの視聴者として、コロナ禍以降は配信で自分の好きなライブをたくさん見ているのですが、気づけば男性の回ばかり見ている自分に気づいたんです。男性のトークライブがだめというわけではないのですが、私好みのものをもっと女性にやってほしいなと思うようになりました。

 なので、トークライブにゲストでお声がかかれば積極的にお受けしたいし、自分自身も今年(2024年)からは大阪のモモブックスさんで「みちことふさこ」というトークライブ(※リンクは24年9月開催予定のもの)を企画してもらって、女性だけのトークライブに挑戦しています。

 

――他にもありますか。

 24年に入り、津田大介さんがMCを務めるWebメディア「ポリタスTV」の中で、元朝日新聞記者の宮崎園子さんと一緒に「月刊ミワタスTV」という配信番組をさせてもらっています。

 ドキュメンタリー番組『NO選挙, NO LIFE』の監督の前田亜紀さんをゲストに呼んでお話を伺ったり(リンク)、裏金問題の報告書を丹念に読むという硬めの話題に取り組んだり(リンク)、テーマはその時々で変わります。

 

 毎回感じるのは、聞き手としての宮崎さんの素晴らしさ。私が発信したいと思っていたり、論点になりうると感じていたことを拾って話を広げてくれるので、すごくありがたいです。

 

 「女の人たちだけで言論の場が成立しているのが嬉しい」「シスターフッドが素晴らしい」といった反響もあり、やって良かったと実感しています。

 

――ライブでの発信のときに意識されていることはありますか。

 「楽しく怒る」ということです。みんなでわちゃわちゃ言いながら、楽しく批判精神を共有していく。それが、世の中が変わるきっかけにもなると思います。

 

 裏金の問題にしても、統一教会の問題にしても、私は本当にひどいなと思っています。政治と宗教の関係はずっと認識されていたはずなのに、政治家たちが放置していた。これは国民に対する裏切りに他ならないなと感じるんです。

 

 かと言って、テレビだと短い尺でしか話せませんし、内容もどうしても真面目で、まっすぐなものになってしまう。

 ずっと怒り続けるっていうのも、また辛いんですよね。そもそも私は真面目な人間かというとそうでもないですし、もう少しふざけたりしたい。ふざけるといっても不真面目とも、斜めから見るのとも違って、穏やかに怒る。怒る気持ちもありつつ、ユーモアを交えながら話すというのが、見ている人も共有もしやすいと思うんですよね。自分自身ユーモアある話の方が聞きやすいなと日頃から感じていて。短い時間でも、そういう表現ができるよう心がけています。

 

 人が変われば話す内容も変わるので、軸はぶらさず、組み合わせも考えながら発信活動を続けていきたいと思っています。

 

●批判を恐れ、行動しない人生はつまらない

 

――メディア活動を始めた当初は「タレント弁護士」という目線で見られることが多かったと伺いました。10年経って、見られ方は変わってきていると思いますか。

 つい先日、広島にいる知り合いの先生が東京に来たときに事務所に立ち寄ってくれたんですが、「10年かけて業界内の見方を変えたね」と言ってもらえました。

 

 見た目や第一印象で人を見がちというのは、仕方ない部分もあると思います。自分自身、他者のことをそういう見ていることを否定できないですし。

 それでも、グラビアに出ているから、タレント弁護士だからと、敬遠するという同業者は減ってきたとは感じます。変わったのはあくまで世の中の見方であって、私自身は一緒なんですけどね。

 

――弁護士業を主軸に、グラビア、タレント、コメンテーターと、この10年間で活躍の幅も広がりました。弁護士以外の活動への挑戦を、ご自身としては肯定的に捉えていますか。

 もちろんそうです。そもそも、人にネガティブに思われたくないんだったら、テレビなんて出ない方がいいに決まってます。SNSでも言いたい放題書かれますし。

 でも、そういうことを嫌がっていたら「何もしない」以外に選択肢がない。批判を恐れて何もしない人生なんて、つまらない。何か行動を起こす以上、色々な声が届くことは避けて通れませんから。

 多様な立場があることを前提に、世の中に対して意見を表明することをどうか恐れないで、と次の世代にも伝え続けたいと思います。

 

(了)

 

【取材・構成=松岡瑛理

 

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