住んでいる街に、そこそこの寿司屋、そこそこの蕎麦屋があって、週に一度くらい食べられたら嬉しい。欲を言えば、そこそこのラーメン屋、天ぷら屋、鰻屋、とんかつ屋、洋食屋、中華屋があるとさらに嬉しいが、これは都心に出たときにでも食べればいい。イタリアンやフレンチも同様である。

私が言っているそこそこの寿司屋、そこそこの蕎麦屋というのは、ミシュランで星をとるようなメチャメチャ旨くて快適な店ではなくて、まあ旨くてコギレイな店で安くはないが高くもない店である。

残念ながら私の住む久米川(西武新宿線)という街には、そこそこの寿司屋はない。しかし、そこそこの蕎麦屋はあるのだ。店の名前は「手繰りや 玄治」という。「たぐりや げんじ」と読む。店の名前に主人の心意気を感ずる。「蕎麦なんてものはそんな上品なものじゃありませんよ」という感じだ。

食べログで3.65という評価だから、「そこそこ」というのは実は当たっていなくて、かなりのレベルの蕎麦屋である。そば百名店EASTにも選ばれたこともある。地元だけでなくて、わざわざ遠くから食べにくる客もいるという。

本日(5月2日木曜日)は連休前で、仕事を終わって地元に帰り、ちょっと外で夕食でもと思い、まず

「や台ずし」という寿司も食べれる居酒屋チェーンで飲んだ。かなり安くて、7時までならアルコール類は半額というのが魅力だ(お通し代298円はとられている)。

その後、寿司は食べずに近くの「手繰りや 玄治」へ。飲んだ後のシメのもり蕎麦をまさに手繰った(上掲 写真)。「手挽き2色せいろ」というのが旨そうだったが、残念ながらとっくに品切れだった。



いわゆる江戸前の粋な蕎麦ではないが、量も十分で旨い。つゆも江戸前のキリッとした辛さではなく、わずかに甘みがある。ワサビは生ワサビだと思うし、ネギも切り立て。これで税込み880円とは、実に良心的な店だ。都心に移転しようなんて変な色気を出さずにこの街で頑張ってほしいものだ。