映画監督のジャン=リュック・ゴダールが自殺幇助(医師が処方した薬を自分で注射し自殺)で91歳の生涯を9月13日に終えた。

ザ・シネマでは、ゴダール追悼で9月に、「女は女である」(1961年)、「女と男のいる舗道」(1962年)、「はなればなれに」(1964年)、「恋人のいる時間」(1964)の4本をTVで放映した。「はなればなれに」(1時間36分)だけを見ていなかったので見てみた。



この映画はモノクロだ。ラウール・クタールの撮影、ミッシェル・ルグランの音楽、そしてアンナ・カリーナの主演というのは前2作と同じ。結婚するアンナ・カリーナを引き立てる映画ということもできるが、ゴダールの映画の特徴である即興演出(ルーブル美術館を許可なしで走り回ったり、急にミュージカル風のダンスを踊り出す)、ほとんど戸外ロケだったり車の運転シーンの多用などがよく見られる。

タランティーノの「パルプ・フィクション」(1994年)などに影響を与え、タランティーノは自分の

映画プロダクションにこの映画のフランス語題名を付けたほど。

そう言えば、ストーリーの骨組みや映像のタッチがジム・ジャームッシュ監督の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(1984年)に似ているなあ。

でも、この映画はちょっと騒々しい。アメリカのペーパーバッグ犯罪小説をベースに、コメディ仕立てにしているわけだが、もっとスッキリした展開になったのではないかとも思う。ゴダール・マニアでなければそんなに高評価はできない作品だと思った。若気の至りで未だに高評価しているゴダール作品も見直してみないといけないなと思っている。