※ネタバレあり

宇宙よりも遠い場所 は 女子高生が南極を目指し旅に出る。そして母の死を乗り越える冒険感動作品のように一見思えるが、筆者の意見は違った。

よりもい は SNSやメール、動画配信などの【インターネットコミュニケーションツールが普及した現代の人と人とのつながり】を描いた作品だと考える。

SNSで繋がり、深い人間関係を築きにくくなりつつある現代。そのリアルに正面から向き合う作品だ。

【1話から11話】
随所に前述した描写がみられる。簡単に整理してみた。
玉木マリ→親友のSNSでの情報拡散 LINEの既読
小淵沢報瀬→PCのメール
三宅日向→動画配信を通じた旧友との断交
白石結月→旧友とのLINEでの交流 (ね)の解釈

また、各話タイトルではインスタグラムのような演出がなされているのもポイントである。

【12話】
筆者は初見 母の凍死体か墓標があるものだと考えていた。しかし、見つかったのはパソコンだった。
12話は1話から11話で描かれた人と人とのつながりを凝縮している。
返信がこなくても既読がつくことで何をしてるか分かる。つまり、メールの返信がないことが報瀬に母の死を報せていた。そして、未受信メールが一気に押し寄せることが母の死の現実を未慈悲に突きつけたのだ。

【13話】
母は死んでいた。しかし、報瀬と貴子は「ずっとつながっていた。」のである。
未送信のオーロラ画像。たとえメールの返信がこなくても。母はずっとオーロラの画像を送信することで報瀬に「何をしているか」を報せていたのだった。


女子高生が南極に行くと言う突拍子もない大冒険の中に
もっとも身近に利用できるSNSという社会でのつながりを描いた感動作品だった。

以上。


これはあくまで筆者の感想です。
違う意見、感想があることは素晴らしいことだと考えています。