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B0-8D
勝  山井
負  飯塚


「明日、球団事務所に来てくれ。スーツでだ」

2012年10月6日。
横浜ベイスターズ内野手の高森勇旗は、球団事務所に呼び出される。

「戦力外通告」

プロ野球選手に対しての契約解除は、実にあっさり行われる。

ここまで積み上げてきた人生を否定されるかのように。


わずか10分程度の通告後、高森はグラウンドに挨拶に行く。

スーツで同僚が練習場に現れる意味は、皆が知っている。

これまでの御礼を丁寧に告げる中で、一人の男が彼の前に現れる。

2006年高校生ドラフト同期。
彼は3位。背番号63。
高森は4位。背番号62。

横浜スタジアムで活躍する事を夢見て、横須賀で共に汗を流してきた。
厳しい練習に耐え抜いてきた。

だが、その仲間が同僚でなくなる。

着慣れぬスーツとユニフォームの男が抱き合う。
汗と涙が染み込んでいく。

2人を見守る仲間も、皆泣いていた。

「俺たちはみんな、いつか野球を辞める時が必ずくる。そしたらその時はどうか、『この世界に入ることができた』ということに誇りを持って辞めていってほしい。この世界に入ることは、普通のことじゃないんだ。だから、何もマイナスなことはない。胸を張って辞めていってほしい」(横浜ベイスターズ元二軍監督 田代富雄)

高森はフリーライターとして、堂々と新しい人生を切り開いている。

あの日、友と抱き合い涙を流しあった彼は、ベイスターズの看板選手の一人として、今日もスタメンに名を連ねた。

敗色が濃厚な9回裏、彼は打席に立った。
皆の思いを背負ってバットを振り抜いた。
打球は左中間フェンス最上段直撃のツーベースヒット。

結果、大ベテラン山井大介に完封を許すことにはなったが、ここから明日への戦いが始まった。


新たな歴史に
その名を刻め
梶谷隆幸
蒼い韋駄天

横浜DeNAベイスターズ。
背番号3。
梶谷隆幸。

明日もハマスタを駆け抜けろ!

VICTORY is WITHIN US.

(参考文献  俺たちの「戦力外通告」 高森勇旗著  ウェッジ)