RUNNING HIGH -3ページ目

##3 天使の風唄(3)

"2000/07/31 08:30 県大会決勝戦"
コウヘイ・・・・テニス部期待のホープ。大会初出場ながら県大会決勝に進出。



会場の控室にコウヘイは座っていた。
緊張しているのが自分自身でも分かった。
緊張を紛らすためにコウヘイは
天井を見上げては目を瞑り大きなため息を繰り返していた。

(どうしてこんなに緊張するんだろう?)

椅子に座ったかと思うと
立ち上がり徐にウロウロして
コウヘイはじっとしていることが出来なかった。

「どうした?緊張しているのか?」
そんなコウヘイの姿を見ていた監督は一言声をかけた。
「はい・・・」
「まあ、決勝の大舞台だからな。緊張するのも無理はないか・・
取りあえず大きく息を吸って、深呼吸をしてみなさい」
コウヘイは大きくゆっくりと深呼吸した。
少しは気休めになったのか、コウヘイは気分が楽になった気がしていた。

「時間だ。行くぞ!」
監督はコウヘイの右肩を
軽くポンッと叩いた。
「はい」
コウヘイは立ちあがりコートへと向かった。

外に出ると太陽がギラギラと輝いていた。
まさに炎天下とはこのこと。
観客席にはちらほらと人の姿があった。
見渡すと母親の姿が見えた。

(絶対に負けたくない・・・)

コウヘイは心にそう強く誓った。
正面に目を運ばせると対戦相手の姿も見えた。
ベンチに座っていて、相手の監督と何か話している。
心許なしか相手が強く見えた。

(大丈夫・・絶対に勝てる・・)

コウヘイはベンチに向かって歩いていき
ベンチに重い腰を降ろした。
すると後ろの観客席から
「コウヘイ!!!頑張れ~!!!」
母親の大きな声が聞こえた。
「頑張れ!!頑張れ!!コ・ウ・ヘ・イ!!」
母親は応援団長のように振舞っている。

(母さん・・目立ちすぎだよ・・・)

コウヘイは少し恥ずかしくなった。
顔を覆い隠そうとしたその時、

「コウヘイ!!!絶対優勝を勝ち取ってきてよ!!」
後ろのほうからナオミの声が聞こえた。
「!!!!」

(ナオミ・・・来てくれたんだ・・・)

天使の唄声のように
コウヘイは心地よい気分になった。

「ピー」

審判の笛が鳴り
運命の決勝戦が始まろうとしていた・・・

不思議とコウヘイは落ち着きを取り戻していた。


to be continued・・・

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