4月の金曜日、バイエルン州で最も良く保存された、南ドイツバロック様式のオルガンを見に行ってきました。




フュールステンフェルブルック
フュールステンフェルト旧シトー会修道院
被昇天の聖母マリア教会
Fürstenfeldbruck 
Ehemaligen Zisterzienser-Klosterkirche 
St. Mariä Himmelfahrt des Klosters Fürstenfeld

ヨハン・ゲオルク・フックス
Johann Georg Fux (1651-1738)
1736年作
2弾鍵盤とペダル
27ストップ

教会に入った瞬間、あまりの装飾の渦に飲み込まれそうになりました。この素晴らしい聖堂を奥まで進み振り返ると大きなM(マリアさまのM)の形をしたオルガンが天上に浮くように立っていました。

製作者は、南ドイツで生まれ、南ドイツで人生のすべてを過ごしたフックス。彼が85歳のときに完成した、人生最後のオルガンです。フローベルガーやパッヘルベル、ムファットが触れたであろうハプスブルクスタイルの最も後期の素晴らしいオルガンの1つです。
そう多くない27ストップのオルガンでも、豊富な16、8フィートを持つためかなり大きな印象です。
ストップの表記も、フックスの書いた綴りのままです。方言のためか、BがPになり、オクターフバスはオクターフパスに、ツィンベルはチンプルに、トランペットバスに至ってはトロンパスになっています...笑


フックスはすでに1630年以前からあったオルガンから11のストップのパイプをそのまま用いて1736年に27ストップに拡大しています。
7つのストップとふいごが1978年に南ドイツのザントナーSandtnerによって修復されました。20世紀に音高は440ヘルツ、また平均律に変えられましたが、それ以外の多くはフックスの製作当初まで遡ることができます。
鍵盤もオリジナルのまま残されています。ブルックナーもこの教会を訪れた際にこのオルガンで素晴らしい即興演奏を披露したそうです。
真ん中には狐と鳥の絵が。彼の名前と同じ発音でドイツ語では狐をFuchsと言うそうで、そこから彼の楽器にはこのシンボルが使われるそうです。
オルガンの上部にも、かわいい装飾たち。

カラフルな多くの8フィートは繊細に色を添え、ミクスチャーやセスキアルテラ(このオルガンではHörndlとも書かれ、通常より1オクターヴ高い)をいれれば眩しい音に口を開けてしまいます。
小さな天使はヴァイオリンも弾けます。

音は素晴らしいのですが、歴史的な美しいオルガンの他の例にもれず、とても弾きにくい!鍵盤は固く重たく、ペダルに至ってはほとんど一回立たないと鍵盤も下がりませんでした笑
ティンパニーだって叩いちゃいます。ちょっと手が短い??

フローベルガー、ムファット、パッヘルベルなど試しましたが、その時代のウィーンの光が見えるようでした。ギラギラと、魔術的で、この時代、地域にしか見られない美しさがありました。
ちょっと大人な天使はとてもエレガント。
バルコニーの際にも軽やかな天使たち。1番左の方のパイプには、おじさんの顔が5個も見えます。楽しい遊び心ですね。


さて、祭壇にはもう1つ、全く違う時代のオルガンがあります。
ヨーゼフ・ツァイルフーバー
Josef Zeilhuber
1948年
2弾鍵盤とペダル
25ストップ

バイエルンのアルゴイ出身のこのオルガンは、この時代にしては少し時代遅れ?ですが、後期ロマンティックのふくよかなで繊細なオルガンでした。スウェルシャッターはありませんが、非常に静かで、デリケートなストップがたくさんあり、ほとんど聞こえないほどのピアニッシモから、金管の合奏まで再現できる素晴らしいものでした。これだけでも1日たりなさそうです。

次回はこの教会の美しい装飾をご紹介します。