みつ梅の古今東西かべ新聞

みつ梅の古今東西かべ新聞

浪曲、歌舞伎を中心に観劇の感想を書かせて頂いております。
拙い文で恐縮ですが、よろしくお願い申しあげます。


三年前から通う世界的なジャズピアニスト、板橋文夫さんと新進気鋭のオカリーナ奏者、海東美紀子さんのコンサートに今年はジャズ仲間の先輩を誘って参りました。 
第一部は映画音楽を中心にポピュラーなナンバーが並びました。
以前、板橋さんが演奏された映画『砂の器』のテーマ曲『宿命』が素晴らしかったと聞き、海東さんにお話した所、今回の演奏曲にお採り上げ頂け、拝聴することが出来ました。
板橋さんのピアノと海東さんのオカリーナの動と静の対比が、世間の荒波の中を強い絆で結ばれた『砂の器』の親子の姿を浮かび上がらせ、思わず胸が熱くなりました。作曲した菅野光亮は板橋さんの先輩だそうで、尊敬の念を抱きながら演奏されていると感じました。
第二部は板橋さんの作品を中心のプログラムで、ここでも板橋さんの情熱的な演奏と海東さんの柔らかな演奏が見事なハーモニーを織り成し、優しい気持ちに包まれました。
板橋さんの作品での中では、『渡良瀬』が一番好きですが、今回の演奏は今まで僕が聴いた中でもトップクラスに入る名演でした。ありあり渡良瀬川の流れ、風に揺れる河川敷の草木が見え、空気を感じました。懐かしさがあふれ、最後のフレーズを耳にした時は、寂しい気持ちで涙が流れました。僕にとって『渡良瀬』は心の故郷です。
アンコールで『Good bye』を演奏されましたが、今まで縁した人のことがふと思い出され、涙しました。板橋さんの作品は心に響きます。
最後に唐突にソロで、『Alligator Dance』を演奏され、圧倒されました。板橋さんは唯一無二の存在です。
 また板橋さんと海東さんのDUOを聴くのを楽しみにしております。