気がつけば、もうずいぶん長い付き合いになったね。
16年、17年?
驚きだな、人生の約半分をキミと過ごしたことになる。
第一印象は、決して良くなかったんだ。
何か、つっかかる感じ?
お世辞にも、親しみが持ててとっつき安い相手とは言えなかったな。
でも、
それがキミの魅力なのかもって…、
そんなキミとうまく付き合えるのが男の嗜みなのかもって…。
だから、
「キミを好きになった」というより、「キミといる自分がカッコいいと思うようになった」、正直そんな感じだったかな、最初はね。
ところが時は流れ、いつの間にかボクは、キミなしではいられない男になってしまったよ。
頭の片隅には常にキミがいて、
次はいつ会えるかな?
どこで会えるかな?
いつもそうやって考えてた。
バイバイしても、ちょっと時間が経てばすぐにまたキミに会いたくなってる。
さっきのキスの余韻がまだ残ってるうちに、もうキミを欲しがってる。
ほとんど病気。
まさに中毒。
「頼んだ覚えはないわ」
きっとそう言うだろう。けど、キミにはずいぶん金も貢いだ。
さっきざっと計算したんだ。
どんなに少なく見積もっても、150万円以上―。
万年貧乏のボクには天文学的な数字だよ。
でもサヨナラを決めたのは、金のためではない。
正直言って、キミとの付き合いが
だんだんつらくなってきたんだ。
面倒になってきたんだ。
楽しくなくなったんだ。
20回会っても、本当に気持ちよく思えるのはせいぜい1回か、2回。
あとははっきり言って惰性だった。
クセっていうか、ただの習慣っていうか…。
昔みたいなトキメキもなく、刺激もなく、まぁきっとカッコ良くもない。
むしろ、キミとの逢瀬で染みついた残り香を気にしなきゃならないのがイヤだった。
密会そのものを子供に見られるのがイヤだった。
何より、いつもキミのことを気にしている自分が、もうイヤになった。
だから告げることにした、
キミにサヨナラを―。
しばらくは、しょっちゅうキミのことを考えてしまうだろうね。
たまらなくキミに会いたくなるだろうね。
誰かがキミといるのを見たりしたら、激しく嫉妬しちゃうかもしれないね。
そしてキミはボクを誘惑し続けるだろう。
お見通しだよ、長い付き合いだもの。
でも、もうサヨナラだ。
もう、充分だ。
キミと過ごした時間に後悔はない、でもキミはやっぱり性悪女。
素敵な時間を、ありがとう。
楽しい出会いを、ありがとう。
サヨナラ。
サヨナラ、TABA子。