食事中、「アレッ?」ってな感じでほんのちょっぴり奥歯が欠けたのが今年の6月。沁みたり痛んだりは全くなかったが、そこから虫歯が広がってはいけないと思い、翌日念のため駅前の歯科医院に予約を入れた。
チョチョっと治療してすぐに卒業となるだろうとタカをくくっていたが、結局「今日でおしまいです」と言われたのは昨日だった。

月に2~3回、約半年間通い続けたことになる。

欠けた奥歯は深い虫歯になっていたようで、結局神経を抜かれ、銀歯をはめ込まれた。その他にも数本の虫歯が発見され、行く度に麻酔を打たれて削られた。

麻酔後の晩飯ほど箸が進まない食事もない。味より違和感が勝ってしまうのだ。一度「ガマンするから麻酔なしで削ってくれ」と医師に頼んでみたことがあった。一生懸命作ってくれる妻の手料理をしっかりと味わうがため、夫として男を見せようと決心しての申し出であった。
「わかりました。もしガマンできなくなったら左手を挙げて下さい。」と言う医師の目には、「何て男らしい人なんだ…」という畏敬の念が宿っていたように思う。
削り開始2秒、落雷の直撃を受けたかのような激痛が全身を貫いた。
何の迷いもなく即座に左手を挙げた。
妻への義理立ても男の意地も、一瞬で吹き飛ばされた。とても耐えられるようなものではなかった。
医師の顔は涙がにじんでよく見えなかった。

そんな思い出を残しつつ、昨日でようやっと終了。来年2月に検診に来いと言われた。イヤだけど、行こうと思う。