高校のとき、野球部に所属していた。
三年生が引退してすぐの8月の合宿、本当にキツかった。
猛暑のグラウンドで一日中練習。肉体はヘロヘロ。加えて、キャプテンになったばかりのボクはチームをうまくまとめられず、精神的にもヘロヘロだった。
その合宿がようやく終わり、ボロボロの心身を引きずるようにチャリンコをこいで家に向う夕暮れの道すがら、ウォークマンから流れていたのは、原由子の「想い出のリボン」だった。
〝別れた男との想い出〟みたいなテーマの歌詞は合宿あけの自分とは決してマッチするものではなかったが、その美しいメロディラインがものすごく胸に沁みた。
聴きながら、「今自分は何かの節目にいるなぁ」と漠然と感じていた。
何の節目なのかその頃はわからなかったけど、今にしてみれば、あの日あの曲を聴きながら帰ったときを堺に、ボクは少し「大人」になったんだと思う。
人にケチをつけることの簡単さ、人の後ろに隠れてスカして生きてるヤツのかっこ悪さ、真剣になっている人を嘲笑するヤツの愚劣さ、責任を負って初めて感じる不安、上に立つ者の孤独・・・etc.
今のボクをつくっている大きな幹が、あの日に芽吹いたんだと思う。
今日で、CROSS の主将をやめた。
別に心身がボロボロになってしまったわけではないけど、夫であり父である今の自分には、だんだんチームのために割ける時間が少なくなってきてしまった。だから信頼のおける後輩にあとを継いでもらうことにした。創設4年、ほぼ隔週のペースでやってきた。もちろんフットサルは楽しいし、チームにも愛着がある。今後はイチ部員として続けていきたい。
第64回を終え、帰りの電車で「想い出のリボン」を聴いた。
15年前の夏を思い出した。