ボクは小さい頃からいわゆる「ものづくり」が苦手だ。
例えば工作やプラモデル。
人に見せたいと思えるような仕上がりにできたことは、正直一度もない。
理由はわかっている。
作成のプロセスですぐに妥協をするからだ。
「あ、ちょっと曲がっちゃったけどまいっか」
「ヤベ何かずれちゃってるけど、何とかなんだろっ」
みたいな小さな妥協が積もり積もって、結果見映えの悪い代物ができあがるわけだ。
この傾向はボクの生きざまにも反映されている。
実務より理屈が好き。
知識はあっても知恵はない。
都合のいいように現実を歪めて解釈し、すぐに妥協する。
口先は器用だが、手先は不器用。
完成した様々な粗悪品は、ボクにその真理をまざまざと見せつける。「オマエの都合で世の中周ってねぇゾ。目をそらしたって現実は変わらないゾ。妥協はいずれ仇となって必ずオマエの身に降りかかるゾ。」と語っているかのようだ。
だから「ものづくり」が得意な人を見ると、ボクはそれだけでその人のことを尊敬してしまう。
身近なところでは矢部ちゃん がそうだ。
矢部の作った工作やプラモデルを見たことはないが、とりあえず彼は「実直」である。
現実を歪めて解釈したりせず、偏見を持たず、物事をありのまま見るフラットでニュートラルな目線を常に持っている。余計なバイアスをかけないから、自分のできることとできないことの区別がハッキリとついていて、背伸びをしない。手先は器用、知識はともかく知恵があり、没頭したら妥協しない。
これらを総合すると、つまり「実直さ」とは「たくましさ」であるということ浮き彫りになる。矢部がたくましくて頼りがいのある男であることは、矢部を知る誰もが認めるところだろう。
矢部は、ボクより生き方や口先は不器用かもしれない。
しかし実直さという点において、ボクは矢部の足元にも及ばない。
だからボクは矢部を心から尊敬しているし、今までもこれからも親友と呼べるのだと思う。
寛大
には、矢部ちゃんみたいな実直さとたくましさを身につけて欲しい。