ナイナイの「ごちバトル」を見るたびに、「一度はこんな店に行ってみたいなぁ」と妻と口を揃えていた.
一応記念日 のお祝いにという口実で、昨日はその「こんな店」に行ってみた.
ひと月前に予約したのは、代官山のとあるフレンチレストラン.もちろん生まれてから一回も足を踏み入れたことのないような高級レストランだ.
店構えのいかにもな感じに、いきなり気後れした.
席に着いて見回すと、調度品はことごとく高級感にあふれ、フロアの奥では暖炉に灯がともっている.わが家御用達「ニトリ」の家具などひとつもない様子だ.
食前酒の後、コース料理を注文した.
オードブルは冷製ホワイトアスパラ.
ものすごくデカいアスパラガス.20cmはあった.一本食べたところで写真を撮ることを思い出す.カシャカシャとケータイで写真を撮るなどいかにも田舎っぺでかっこ悪い.が敢行した.だってボクは田舎っぺでかっこ悪い男だから.
次にスープがでてきた.6種類の野菜が入っているという.
これは美味かった.なんともいえない味がした.我ながらつまらない感想だ.
続いて魚料理.サーモンのグリエだ.
半分食べたところで、写真のことを思い出した.忘れるくらい美味かったということで.
・・・そしてメインの肉料理.ボクは特選和牛フィレ肉のグリエ、妻は子羊のリブステーキをオーダーした.
デザートの前にチーズが出てきてお口直し.フルボトルの赤ワイン(高級)がこの時点でちょうど1本空き、スマートな甘味でコースをしめた.
この一連のクライマックスで、ついに写真のことは完全に忘れていた.それどころではないくらいのオイシさに、舌鼓うを打ちまくっていた.
思い出したのは食後のコーヒータイム.
コーヒーは普通だった.
店を出て、代官山の春風に吹かれながら計算していた.いつもの食堂の昼飯何食分に相当するのか.駅が見えてきたところで、答えが出た.130食分だ.
こーゆー換算をするのは、ダサい.無粋だ.が、せずにはいられなかった.
高い建物に登ったとき、地面を見下ろしてみたくなるのと似た感覚だ.
たまには地に足の着かない高さを味わってみるのもいいものだ.