光永亮太オフィシャルブログ「雨のち晴れ」Powered by Ameba
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大好きなKANさん。



大大大好きで憧れのKANさんがご逝去されました。

 

 

 
KANさんとの数少なくも濃厚で幸せだった思い出と共に、一方的にKANさんへの大好きな想いを長々と綴らせてください。
 
2013年8月29日。
中野サンプラザで行われたオムニバスライブで初めてKANさんのステージを拝見しました。
全身アメフトの衣装で登場したKANさん。
シュールでユーモア溢れるトークにお腹が痛くなるくらい笑い転げたのを覚えています。
 
その時に演奏された「よければ一緒に」を聴いた時、「なんと優しい曲なのだろう」と衝撃と感動を覚えました。
 
「愛は勝つ」と「まゆみ」以外は正直あまり楽曲を存じ上げていませんでしたが、その日から僕はKANさんの虜になりました。気づけばCDを片っ端から聴きました。
 
美しいメロディや優しさに溢れる歌詞もさることながら、膨大な音楽知識に裏打ちされ、精巧に計算されて作られた名曲の数々に心を打たれまくりました。
 
なんでこれまでKANさんの作品をしっかり聴いてこなかったのか。
 
ライブDVDも買い漁りました。
ライブの終盤では、それまでのライブを振り返る逆再生という離れ業。最高のエンターテイメント。途方もない時間をかけて作り上げたステージだということが一瞬で分かりました。
 
 
時は経ち、ステージでご一緒できることになりました。
2018年の馬場俊英さんの大阪NHKホールでのライブ。
大好きなKANさんとステージに立てると聞いて震えました。引き合わせて下さった馬場さんには感謝しかありません。
 
なんと楽屋でも隣の席。
思い切って話しかけると、気さくに色々と返して下さったのを覚えています。
 
 
ライブを終え打ち上げへ。
ここでも僕の真ん前に座ってくれました。
 
KANさんが大好きなシャンパンを注がせて頂きながら、色々な話で盛り上がりました。
 
デビュー当時のお話やその後のお話、愛車の話。
 
長い音楽キャリアの中で、大変ご苦労されたお話も伺って、だからこそ今のKANさんが形成されていることを知り、尊敬が深まりました。
 
連絡先を交換する時に、KANさんはメールアドレスを割り箸本体に書いて渡してくれました。
KANさんらしいユーモア溢れるシュールさはここでも健在でした。
割り箸に連絡先を書いてもらったのは音楽業界広しと言えど、恐らく僕だけでしょう。
それが嬉しすぎて、今でもその割り箸を大切に持っています。



そして2021年の9月には馬場俊英さんと共に僕のラジオ番組にも出て下さいました。

番組で3人でビートルズの「You're Gonna Lose that Girl」をセッションすることになりました。
大概セッションする時はザックリ歌い分けを考えて、当日みんなで合わせて終わりのパターンが多いのですが、KANさんに言われた言葉が今でも忘れられません。
 
「普通に歌い分けをするのはおもしろみがないと思います。こういうのは、めんどくさいことを避けてはいけません。めんどくさいことを避ける→練習回数が減る→緊張感のない演奏になる。敢えてめんどくさくする→練習回数が増える→緊張感の高い演奏になる」
 
という言葉と共に送られてきたのは細かく歌い分けが指示されたKANさん手書きの音符入りの譜面。
 
その歌い分けがめちゃくちゃ難題で、正直本当にかなりめんどくさかった。
他の仕事そっちのけで必死に練習しました。
 
KANさんのプロとしてのストイックさと、後輩である我々への叱咤にも似た愛情を感じた瞬間でもありました。
 
生放送での馬場俊英さんとKANさんとのセッション、ものすごくいい出来だったことはいうことは言うまでもありません。
あれだけ練習したのですから。
僕自身、「ハモリが苦手」だという苦手意識が払拭された瞬間でもありました。
 
KANさんも帰り際にひと言、「今日の、良かったよね。またの機会も期待しています」とニコッと笑ってくれたのがめちゃくちゃ嬉しかった。
 
あの手書きの譜面は今でも僕の宝物です。
 
その後もライブに招待して頂いたり、メールでやり取りさせていただいたり。
 
昨年、KANさんからメールが届きました。
 
「富山でお兄さまにお会いしました、では、股。KAN」と。
 
そのやり取りが最後となってしまいました。
 
 
 
ご本人にお会いする度に「大好きです」と何度もお伝えさせていただきました。
 
この一方的な愛がどうか届いていますように。
 
 
KANさん、あたたかい時間をありがとうございました。
他のアーティストの皆さんほどお近づきになれなかったかもしれませんが、僕の中では幸せすぎる時間でした。
 
KANさんがふざけたことを仰る度に大笑いする僕を見て、嬉しそうにされているKANさんのお顔がまだ瞼の裏に焼きついています。
 
ご一緒していると日向のように心地が良くて、つい金魚のフンのように後ろをついていってしまったことをお許し下さい。
 
 
KANさんに教わった通り「めんどくさいこと」を避けずに「敢えてめんどくさく」していこうと思います。
 
そしてKANさんが残してきた素晴らしい曲の数々にこれからも励まされていきます。
 
KANさん、ありがとうございました。
そしてどうか安らかにお眠りください。
 
 
最後に。
 
 
KANさんの音楽もユーモアも下ネタもお人柄も全部全部大好きです。
僕がそちらに行った時にはもっとお近づきになれますように。
KANさん、「では、股。」です。
 
 
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