介護施設での残業問題に影響しているものの一つに、介護記録の作成方法がある。従来の紙媒体での記録は、業務を終えた後に記入する必要があり、これが残業につながる可能性を高めているのだ。そこで、残業問題の解決策として注目されているのが、タブレット端末の活用である。
紙媒体の介護記録は、業務時間内に記録を終えることが難しい場合が多い。介護職は、利用者のケアに追われ、記録に十分な時間を割くことができない。そのため、業務終了後に残って記録を作成しなければならない。手書きの記録は時間もかかるため、残業時間が長くなる原因となっているのだ。
また、手書きの記録は、読みづらさの問題も抱えている。一人ひとりの文字の癖や、場合によっては誤字脱字なども避けられず、誤読が生じやすくなる。そのため、他の介護職との情報共有がスムーズに進まない可能性もある。正確かつ効率的な情報共有は、質の高い介護サービスを提供する上で不可欠であるため、記録の読みづらさは大きな問題なのだ。
これらの問題を解決するのが、タブレット端末の活用である。タブレット端末に介護記録を入力することで、文字の癖による読みづらさが解消される。さらにその場で記録を入力できるため、業務終了後に残って記録を作成する必要もなくなる。また、入力した情報はすぐに共有できるので、職員間の情報伝達もスムーズになる。
タブレット端末の導入は、介護記録にかかる時間を短縮し、情報共有の効率化を図ることで、残業時間の削減に繋がる。結果として、介護職の負担軽減とより質の高い介護サービスの提供が可能になるのだ。
共働きの夫婦の場合は、すれ違いの生活にならないための工夫が必要だ。特に、夫も妻も福祉業界で働いている場合は、施設の種類や働き方を吟味すべきだろう。
介護施設は、二十四時間体制で利用者の介護を行っている施設と、日中のみ営業している施設の二種類がある。そのため、入所型の介護老人保健施設や特別養護老人ホームのような施設では、介護職は日勤と夜勤のシフト制で働くことになるが、デイサービスや訪問介護事業所では、介護職は日勤帯の勤務が中心になる。したがって、夫婦がともに介護業界で働く場合は、この点をしっかりと踏まえて働き方を決めるべきだろう。
万が一、このことを気にしないで双方が働き続けると、夫婦のどちらかが仕事を終えて帰宅しても、入れ替わりでもう片方が出勤する生活を繰り返すことにもなりかねない。そうなると、顔を合わせる機会や会話が減ってしまうので、共働きの介護職は勤務先と働き方を十分に話し合っておくことが大切だ。
ちなみに、私がおすすめしたいのは、夫婦のどちらかが日勤と夜勤のシフト制だった場合は、もう片方は日勤のみ働き方を選ぶという方法だ。この方法なら、多少給与は減るものの、夫婦で一緒に過ごす時間は十分に保てるだろう。夫婦が共に働き詰めになってしまうと、大切なことを話せなくなったり、ただの同居人のようになってしまうので、できるだけしっかりと顔を合わせて会話する時間は重要だ。夫婦円満な家庭を築き、介護業界で長く活躍するためにも、ときには働き方を見直す機会を設けるようにしてほしい。
福祉業界は長時間労働が多いといわれており、さらにその状況がニュース等で取り上げられることで働き手に敬遠され、人手不足からまた長時間労働へつながるという悪循環に陥っていると懸念されている。
ここでは、福祉業界に起こりがちな長時間労働に関する問題と改善策をご紹介しよう。
一つ目の問題は、福祉業界で働く方は奉仕やサービスの精神が強く、その意識が長時間労働やひいてはサービス残業へつながっているといわれている点である。
これに対する改善策としては、意識改革が効果的といわれている。従事者に自分たちはプロであり働くことで大きな対価を受け取らなければならないこと、プロとして決められた時間内で働く必要があることを意識づけるとよいだろう。また、プロ意識を高めるために、資格取得や外部のセミナー参加をバックアップすることも効果的とされている。
もう一つの問題は、うつ病や腰痛といった疾患に悩まされる従事者が増えている点である。
この問題も長時間労働が一端となっている。長時間労働が慢性化することで十分な休養が取れなくなりうつ病を発症したり、無理な姿勢での長時間業務が続いたことにより腰痛になってしまったりする例は少なくないといわれている。この問題に対しては、業務の効率化や適所への増員、従事者の肉体労働をカバーする設備や器具等を取り入れて、長時間労働を軽減することが有効とされている。同時にうつ病等の精神疾患対策として、上司から部下への声掛けを増やしたり、カウンセラー等仕事や私生活上の悩みを相談できる人員を置いたりという対策も効果的だろう。
このような問題を解決するためには、どんな問題に悩まされているのか知ることが大切だ。さらに詳しく知りたいのなら専門サイト(http://kaigo-rodojikan.com)を参考に考えていこう。