多くの人は「自分の頭で考える」こと肯定的に捕らえているだろう。
現代は何でもかんでも他人の言うことを鵜呑みにせず、自分の頭で考える人の
ことを評価する傾向が強い。
これは詰め込み教育によって指示待ち人間が増えた(本当かどうかはわからないが・・)事に
よる反動によるものかもしれない。
では本当に「自分の頭で考える」こと良いことなのだろうか?
私もどちらかというと「自分の頭で考える」こと基本としてきた。
何か問題が起こったとき、もしくはお客様への提案を考えるとき、
私はっ白のノートを開いてそこにアイディアを記入していた。
特に煮詰まったときには、誰もいないところに座ってじっくり考えることで、
良いアイディアが生まれるものと信じていた。
もちろんこのことによって良いアイディアが生まれたこともあるし、
問題が解決したこともある。
しかし最近コーチングの勉強をして気がついたのは、
それだけでは非効率なのではないかということである。
少し前にある問題が起こった。
例のごとく私はそのことについてずっと自分の頭で考えていた。
なかなか良いアイディアが浮かばずに、「このままじゃやばい、どうしよう・・」と
悩んでいたとき、偶然同僚と話す機会があった。
その同僚は私の仕事内容とは全く関わることがないのだが、
その話をしたときにふと自分の中でアイディアが浮かんだ。
同僚に何かアドバイスをもらったわけではない。
自分が話をしていたときに「あっ!」とひらめいたのである。
これを後から振り返ったとき、他人にその話をしたことによって
頭の中が整理されたことがわかった。
どうしても自分ひとりで考えていると、頭の中がごちゃごちゃしてくる
(同じ内容が頭の中をぐるぐるする)。
しかし他人に話をすることによって、相手が理解しやすいように
頭の中を整理する必要が出てくる。
おそらくその中で「あっ!」と良いアイディアが浮かぶのである。
これはコーチングの考え方に近い。コーチングは相手に対して
このような手助けをすることを基本スタンスとしている。
コーチングの目的は相手に対してアドバイスをすることではない。
あくまでも相手に話させて、相手の頭の中を整理させることが目的である。
今回はその逆パターンである。
自分が考えていることを相手に話すことによって、自分の頭も整理される。
本来は誰かにコーチングしてもらうのが良いのかもしれないが、
必ずしも全員がそのような環境に恵まれていない。
そうであれば自分からあえて話を持ちかけることによって、コーチングしてもらえばよい。
それからというもの私は何か問題が起こったときには、
他人に対してすぐに話をすることにした。
「ある問題が起こっていて自分ではこのように考えているんだけどどうでしょう?」
このようにいろいろな人に自分から話す。
もしある人に話してよいアイディアが浮かばなければ別の人に話す。
もしその人に話してもダメだった場合はまた別の人に・・・。
このサイクルを繰り返すことによって次第に自分の頭の中が整理されてくる。
言い方は悪いが、自分の頭を整理するために他人を利用するわけである。
これは必ずしもその内容に詳しい人でなくてもかまわない。
もちろん上司や同僚に相談すればよいアドバイスをくれることもある。
しかし自分の頭を整理することを目的とするのであれば、後輩でも良いし、
全然仕事内容が関係ない人でも良い。
極端な話をすれば人間でなくても良いかもしれない(笑)。
家で飼っている犬に話すだけでも、いつの間にか頭が整理されてくるだろう。
現代は「自分の頭で考える」ことを良しとするある種のイデオロギーが存在する。
もちろん「自分で頭で考える」ことはとても大事なことであり、
何も考えない人よりかは全然ましである。
しかし他人に自分の考えを話すことによって、自分の頭が整理されたり、
アドバイスをもらったりすることが出来る。
「自分の頭で考える」というのは「自分の頭(だけ)で考える」ことではない。
「(他人の力を借りつつ)自分の頭で考える」ことなのである。
