前回のつづきから

 

「あ、おはいりいただけません」

 

…はい?目

 

すぐには事態がのみこめない。

 

「うーん…どうすればいいですか?」

「インフォメーションセンターに行ってください」

 

広い会場でここまで進んできたのに

インフォメーションセンターに行けと?

 

「そそそ、それ、どこですか」

 

すこしずつ焦る。

上がる心拍。息苦しいっ。

ここで、戦闘態勢、すっぴんだったため装着していたマスクをはぎとる。

 

ところがお姉さん、しどろもどろとなってしまって、インフォメーションセンターの場所が言えないの。

 

「どこって…ええっとですね…」

 

おいっ。早くしてくれ!

行けと言って、なぜ場所が言えぬ!と心の中で思うが我慢。

 

その時、入口のちょうど真横に、三人の女性が座っていて、そのうちの一番年上と思われるかたが

やりとりを聞いていたのかやってきて。。。

 

「すみません。チケットがあっても、リストバンドがないと入れないんです」 と。

 

「どうしてですか。今、このチケットと引き換えにつけてもらってきたばかりなんですけど」

 

とりあえず懇願する。

 

「チケットが無記名ですので、ご本人様のものと確認できないんです」

 

……??

もともと午後チケットは無記名で、本人確認なしで入れる。

理由になんないです。

 

つまり、私が他人のチケットを拾い、

本来のチケットの持ち主にも、リストバンド、私にもリストバンド、の可能性があるということでしょう。

 

だけど、チケットなしに受付は通過できませんって!メラメラ

 

お姉さんが無線で、リストバンドの落し物がないか確認してくれたけれど、「ない」と。

 

そりゃ、いくら善人でも、この状況で、リストバンドが落ちてるのに気づいても、

いちいち列を離れて

インフォメーションセンターに届けるわけがない。

 

「っていうか、その落ちてるリストバンドだって名前書いてあるわけじゃないですから、私のじゃないかもしれないですよね?

 

他人のかもしれないチケットで入れなくて、他人のかもしれないリストバンドで入れるっておかしくないでしょうか」

 

「……」

 

「リストバンドは、全員、係の人がつけてくれてます。

ただ渡されて私がつけたのなら私が悪いですが、外れたことに私に非はないです」

 

「朝から、何人もリストバンドがはずれた方がいらっしゃいますが、お帰りいただいています…」

 

「…!!」ゲロー

 

それっきり黙るお姉さん。

ほかの二人の学生とおぼしきお嬢さんたちは、じっと、まっすぐに前を見たまま座っている。

 

オバン…見苦しい…と思っているに違いないが、

こっちはそれどころじゃない。

 

内心、かなりパニックです。滝汗

 

みんなただのバイトで、たぶん「リストバンドをしていない人を入れるな」としか言われていない。

 

無言で立ち尽くすこの人たちに何を言っても解決しない。

 

そうこうしているうちに、私より後ろに並んでいた人たちが続々と…

 

もう、気絶寸前www

 

6時過ぎに家を出て、並んでやっと、会場の入り口まで来たのに、

グッズを買うどころか、中にも入れずに帰るなんて!!!

 

どうする! 私!

 

一瞬考えて。

選択肢はひとつ。

 

…探すしかない。

 

踵を返して、人の列を逆に走り、「一方通行です!」という係にリストバンドを探していると告げ、通路を行き、階段を上がって、下がって。

 

誰かが鼻でもかんだティッシュの細長いくずさえ、幻覚なのかリストバントに見えてしまって、

拾ってしまい。

 

時間が長く感じました。

 

そして、ふと見た廊下の端に、裏返しになったリストバンドが…

 

あったーーーー!!ゲラゲラ

 

誰のものでもかまいません。

ごめんなさい、もらいますっ。

 

今度は自分で確実にパチッとして、再び走って会場に戻りました。

 

ロスタイムは20分くらいでした。

ファイル以外の欲しいものは、ボルテージの列の最初のほうで売り切れていたので、

どのみち買えなかったと思います。

 

でも、ファイル一枚を手に入れた感慨はひとしお。

なにしろ、会場にすら入れなかったかもしれないのですから。

 

楽しいはずのイベントが、もう、どうしようもなくつらかったです(笑)

帰りの高速バスでは、精根尽き果てて爆睡でした。ぐぅぐぅ

 

たぶん、この日のこと、ずっと忘れません…

今日、体重を量ったら、1キロ痩せてました。

 

くだらないのに、読んでくれてありがとうございました。

だれかに言いたかった汗