気まぐれな雨がふる。

せっかく春が満開の桜を用意してくれたのに、お構いなしにひっきりなしに。

お陰で桃色の花弁は水溜まりの上にボートのように浮かんでいて、雫が落ちる度に花びらは揺れて、樹上で風に当たっているみたいにみえた。


やがて、気まぐれな雨は止んで、ぽっかりと雲に穴が開くと、そこからまっさらな青空と暖かくて優しい光が射し込んでいた。


水たまりにも、光は射し込んで、
青い空と白い雲を映している。


それに、
さっき落ちた小さな桃色たちと、

まだ、しぶとく残った上の桃色たちが、


まるで、集合写真みたいに、
俺も俺もって、水たまりに集まって、



太陽がフラッシュをたくと、
おんなじクラスみたいに、一枚の集合写真が出来た。



空には虹。
季節は入学式。

気分が桃色に染まる
雨上がりの放課後。
泣きたくなって、

笑えなくなって、

誰かに頼ってすがりたくなって、


そんなこともあったけど。

我慢して胸の内で抑え込んだ。

一度押さえ込んだら、

少し強くなった気がして、

もう一つ押さえ込んだ。


押さえ込んで

押さえ込んで、


助けを呼ぶ声の出し方を忘れた。


気がつくと、
差し出された手の掴み方も忘れてた。




押さえ込んで

縛り付けて



頬をつたう雫の理由も忘れて。



枯葉を踏んだ時の

乾いた音しか


僕の心は奏でない
それは、静かに消えていく。

日の当たらない暗闇の中で、


ひっそりと、


でも、少しずつ。



最後まで残った白く光る塊は、


こうして、春を迎えても

まだ消えずに残っている。




でも、いずれは消えてしまうのかな。



花がいつかは散りゆくように、


いずれは全て変わっていく。




けれど、

今こうやってとけないで雪を見ていると、


何か励まされる気持ちになるのです。



変わらなくても、

変われなくても、


泥にまみれて、黒く染まっても、


決して日の目を見ることは出来なくても。



最後にただ消えるまで、


それでも、いいんじゃないかと思えるのです。