カレーライスはハヤシライスと麻婆丼のどちらにより類似しているか?という問題である。

 

 見た目ではハヤシライス優勢に感じるが、それは単純に同じ皿と同じスプーンを使っても違和感がない、ということに過ぎず、ただの「器」の問題である。別に丼にご飯を盛ってカレーをかけたって、それがカレーライスであることに変わりはない。細かい人はカレー丼と呼ぶかもしれないが、カレーライスがカレー丼になった瞬間、カレーライスの評価が"ハヤシライスより"から"麻婆丼より"に変わるのであれば、料理の類似度は器で左右されるという、本質から外れた議論になってしまう気がする。

 いま我々が考察している問題は(全方向から「えっ、我々って、自分も関係者なん?」という驚きの声が聞こえる)、あくまでも料理そのもののイデアとして(大げさ)の類似度である。ここで、そもそも類似度を定義していないじゃないか、という些細な問題は考えない。

 

 で、何が言いたいかというと、カレーは麻婆豆腐の仲間じゃないか、ということである。具材をスパイスと炒めてから煮るという意味で両者には何も変わらない。

 

<カレー>

・基本具材は玉ねぎと肉(炒めるよね)

・基本のスパイスは「クミン」「コリアンダー」「ターメリック」「カイエンペッパー」

 

<麻婆豆腐>

・基本具材は豆腐とひき肉(豆腐は塩ゆで,ひき肉は炒める)

・基本のスパイスは「豆板醤(赤唐辛子)」「花椒」「豆鼓」「パクチー」←入れるでしょ!? パクチー

 

カイエンペッパーは赤唐辛子のことだし、コリアンダーはパクチーだ。麻婆豆腐の甜麺醤は甘みのもとだが、カレーにも砂糖やはちみつを入れることが多い。

 

なんと。カレーは小麦粉、麻婆豆腐は片栗粉というとろみのつけかたの違いはあるものの、比べれば比べるほど、カレーが麻婆豆腐に見えてくる。

 

そこへ行くとハヤシライスは全く路線が違う。ハヤシライスがカレーの仲間を装っているのは、タラバガニが実はカニの仲間じゃないのと同じくらいの詐欺である。(タラバガニはヤドカリの仲間だそうです。知らんわ)

 

 

一度そう思ったら、そうとしか思えないほど、カレーは麻婆豆腐の仲間なのである。