60代女性
〈症状〉
半年前に乳腺の腫瘍摘出してから今日まで、日に日に肩まわりの筋が縮こまり、今では何もしていなくても腕の重みでズキズキ痛み、歩くと5分程で腕がちぎれるような強い痛みと、もう5分歩くと腕が肉離れを起こし休み休みでないと歩けない。胸を広げる事が出来ず、横になって寝れないので座位で睡眠を取っている(痛みで1時間おきに起きてしまう)。
一日3回病院で処方されたロキソニンの服用と、ジェルタイプの痛み止めを併用している。
〈分析〉
半年前乳腺の腫瘍を摘出した際、胸部に卓球ボール大の傷口が出来た。傷口を塞ぐように、周りの筋や皮膚が集結し癒着。大胸筋の強い短縮により右肩関節のアライメントもズレ、右肩関節内旋、下制していた。
動作時痛、安静時痛、可動域制限有り。
肩関節:屈曲45°伸展0°(内旋しているので安静時で10°屈曲位)、外転45°
胸を開くと痛いので、肩肘を屈曲させ常に襟元や服を掴み休ませている。
痛みと可動域制限の主な原因として胸筋の短縮が見られ、痛みから逃れる為に胸筋を短縮させる姿位を取るため、更に短縮が進み肩まわりの筋バランスが崩れ(胸筋、菱形筋、広背筋、三角筋、肩甲下筋、大・小円筋)肩関節のアライメントが余計ズレてしまう悪いスパイラルに陥っていると考えた。
〈施術〉
初回来院時、仰・伏臥位取れなかったので側臥位・座位で行い、揉み返しが強いとの事で、ごくごく軽い刺激で行った。
初回~2回目:まずは胸筋、菱形筋、広背筋、大・小円筋をマッサージで解し、肩関節のモビリゼーションを行った。
3回目~:3分くらいだったら仰臥位とれるようになったとの事で、上記の施術にプラス大胸筋のST、肩関節のスラスト、日によっては大胸筋に運動鍼を施した。
〈経過〉
今までは歩いて10~20分で肩が肉離れするような痛みで休み休みであったが、3回目の来院時には休む程の強い痛みを感じなくなったのと、半年振りに横になって寝れるようになった。
5回目の来院時には痛み止めを朝飲むだけで良くなり、6回目には痛み止めを止めた。
日に日に胸も開き肩の位置が正常位に近づき、ズボンの後ろポケットに手が入るようになった。
現在は斜角筋症候群も併発しているのでそちらの治療もしている。
〈患者様の声〉
薬に頼りたくなかったので、薬を止めれたのが凄く嬉しい。
何もしていなくても痛い日々が一生続くのではないかと絶望していたので、希望が持てた。