魔女の法則という言葉があります。
親が自分の達成出来なかった夢を、我が子に担わせる。というものです。

 

例えば、アイドルになりたかった母親が、娘に夢を託し、それが子供の意思にそぐわなくとも、アイドルになるべく教育やお稽古事をさせ、アイドルになるべく道を歩かせる。

また、高学歴高収入の夫と結婚出来なかった自分の代わりに、娘にはそのような相手でないとお付き合いや結婚をさせないなど。

 

様々なケースで、子供の意思を無視して、あたかも自分が敷いたレールが人生の最善最良のものだと、日々子供に言い聞かせ、子供を自分の意のままに行動させるというものです。

魔女の法則の他にも、子供の将来の仕事を、親が決めてしまうということがあります。
稼業が代々続く商家や代議士だったり、父親が開業医だったりと、子供の頃からそれを継ぐべく道が引かれている、というケースです。
親は、あくまで子供の幸せを考え、子供の人生のためと思って行う事ですから、そこに悪意は全くありません。

むしろ、サポートする気持ちの方が大きい。

子供の為に、良かれと思ってしていることです。
この場合、子供自身が思い描く夢と、親が望む夢が、合致すれば問題はありません。

相互協力の元、夢の実現に邁進すればよいと思います。

 

あくまで問題なのは、子と親の望む将来が異なる場合のこととなります。
特に学業に於いて、高学歴が要求される職業もあり、子供の能力や適性がそぐわなかった場合は、大変なプレッシャーやストレスが子供にのしかかることになります。

子供は、年齢が小さければ小さい程、親の愛情を得ようと必死になります。
表面は全くそう見えなくても、心の中は、親の愛や周囲にいる人達の好評価を得たいと思っています。
故に、親の期待に応えようとして、子供は使命感を持ちます。
自分の中に疑問や違和感があったとしても、それに蓋をして親の期待を背負う。
真面目な性格の子供なら尚更、強い使命感と責任感を持ちます。

 

「パパとママが喜ぶから。」或いは、

「お爺ちゃん、お婆ちゃんが、応援しているから。」など、

その期待を一身に受け、それに応えようとするのです。


そのように親や周囲から将来への縛りがあると、やがて子供は自分の行動や物事に対しての思考に、「こうでなければならない。」とか、

「こうするべきだ。」という縛りを作るようになります。
周りの期待を裏切らない為に、期待に応える為に、それらを自分に課す事が当たり前になっていきます。

「三つ子の魂百まで」という言葉がありますが、この「……でなければならない」という気持ちは、やがて感情の奥底に眠るようになり、潜在意識に入ります。
加えて、親の言う通りにしていれば安心だ。という感情も上乗せされていきます。
そうなると子供は、常に親の顔色を伺い、親の言う通りに動く操り人形のようになってしまいます。

 

第一次、第二次反抗期で自我に目覚め、これまでまとった殻を破り、ありのままの自分を見出せればよいのですが、真面目な子供程、自我や自分の欲求には目をつぶり、親の言いなりになる事で安心感を得、愛情を得ようとします。
自分を殺した生き方をしていると、親に決定権を任せているが故に、自分で判断や決断が出来ない、将来の進路も決められない、自分に自信を持てないという性格を築いてしまいかねません。

何より、心の奥深くに眠った感情は、潜在意識に入っていますから、自分でそれを持っている事自体を忘れてしまいます。
そうなると、そこから脱却することは、なかなか難しいものになっていき、脱却する為には、かなりの意識改革と、多くの気づきと、行動が必要となります。

 

だからこそ、以前書いた『子育て~誕生~』が、とても大切な意味を持つこととなります。

子供が、心健やかに成長できるよう、愛情を根底に、冷静にサポートしたいものです。

 

 

 

 

 

余談ですが、我が家は、小さな会社を営んでおります。

夫は3代目。夫は、自分の夢を捨てて、会社を継ぎました。

子供の物心がつく頃から、祖父母達は大変な期待を、長男に寄せておりました。

家業を継ぐべく、4代目となってもらいたいという願いです。

長男も幼い頃は、無条件に嬉々としてそれを受け入れておりました。

が、夫と私は、子供が自分の将来を見据え始めた、小学生の高学年の頃・・・

「祖父母達の言う4代目には、なってもならなくてもいい。自分の人生なのだから、自分の好きな道に行きなさい。会社は、私達の代で断たんでも構わない。心からそう思っている。」と、子供達に言いました。私達は、機を見て、何度もそのような話を、子供達にしました。

子供達には、自分で選択した未来を歩んでもらいたかったのです。

長男は、それを受けて、自分の好きな道に行きました。

そして、祖父母から4代目を期待されていなかった下の子は、自発的に家業を継ぎました。

実は、下の子は、小学1年生の時の将来の夢という作文に、「仕事をしているお父さんの姿がカッコイイから、僕はお父さんと同じ仕事がしたいです。」と書いており、ずっとその夢を継続して持っていたのでした。

 

子供は、一人の人間です。

自分の分身ではありません。

だからこそ、その真意を確かめ、その真意を汲み取ってあげなければなりません。

 

子供の輝く未来を祈って。