吊るされた薄紫の玉藻

障害物を避けると宵の間にか獣道へ

御魂の馨りも瑞々しく

自身の正が生を分岐する事も知らず

寵愛を丁寧に昇華する

畔に優しく崩し落として逝けたなら

真珠貝の人救いを諭し

懐柔していた愛玩を解き放てたろう

常世は種を許し包む

吟遊の白粉に何も云わず唯瞳を潤め

刻に見目麗し手弱女

又は赦し赦される益荒男の如く潔い

道を辿れずとも解る

現に生きてきた玉藻が語るのだから