同じ事をしていると、人はその事に長けてくるらしい。


去年の今頃の話。
僕は初めて秋葉原の地に足を踏み入れた。
関東に拠点を置き、いつかやってみたいと思っていた『お店回り』というやつが遂に自分にも出来るようになったのだ。
まずは、アニメイト。
その次は、隣のとらのあな。
壁際にズラッとサイン色紙が並んでいた。
そして、ゲーマーズへ。
ゲーマーズではサインボールが展示していた。
僕がアクリルケースににじり寄り、TrySailの3人のサインをガン観していると。
「こういうの好きなんですか?」
隣ではおじさんが僕を見ていた。
「まあそんな感じですかね。」
よく覚えてないが、こんな感じの回答をした気がする。
すると、おじさんも同様な内容を口にした。
僕がTrySailの3人の話をするとおじさんは曖昧に相槌を打っていた。
「良かったら、この後ご飯食べながらゆっくりお話ししませんか。」
おじさんは唐突にこんな話を切り出した。
「いやぁ…流石にそれはねぇだろ(今日はちょっと難しいですね。)」
僕はこんな感じの回答をした気がする。
おじさんは間髪入れずに。
「LINEかTwitterやってたら交換しませんか?」
僕はその場でフォローを返した。
翌日、おじさんからDMが届いていた。
内容は食事のお誘いだった。
僕は断った。
おじさんには何十人かフォロワーがいて、僕と同じオタクばかりだった。
でも、おじさんのツイート数は0だった。
何度か同じやり取りをしている内に面倒くさくなって、僕はおじさんをブロ解&ブロックした。
僕がこのアカウントでブロックしているのはおじさんだけだ。


後から調べてみると、秋葉原には似た様な人がうじゃうじゃと居るらしい。
よくよく見ると、オタクショップにも
『お客様への勧誘行為は禁止しております。』
と張り紙があるくらいだ。
実際のところ、おじさんがそういう人種だったのかは分からない。
ただ、おじさんがそういう人種ならオタクを見る目に長けていたことだけは確かだ。