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壱や【源氏物語】
宇治十帖
第四十七帖
総角
総角前半
八の宮の死から一年、二十四歳の薫は宇治の姫たちを親身に後見し続けていた。
一周忌の近づく八月、薫は宇治を訪れて大君と語るが、大君の心は中の君を何とか幸せにしたいという思いばかりに占められ、薫にはすげない。
彼の孤独を癒し、自然に心を重ねることを大君に望んでいた薫は、その夜話し込んだ挙げ句大君の部屋に入り込んだ時にも、彼女の意志を尊重して、事に及ばず、一夜を明かした。
大君は薫の誠実さを感じ、彼を中の君に譲り二人を結婚させることを思いついた。
自分は身を引き、若い中の君を人並みに結婚させることこそが自らの幸福だと、彼女は涙ながらに決意する。
八月二十日頃、八の宮の喪が明けると薫はその月のうちに再び宇治を訪れた。
そして弁に語らい、女房を味方として大君の寝所に入る手はずを整えた。
しかし、まんじりともせずにいた大君は彼の気配を察し、隣に眠る中の君を部屋に残して壁際の屏風の背後に隠れてしまう。
薫は口惜しく感じ、大君への気持ちを貫きたい意地もあって、中の君とも語らうだけで夜を明かしたのだった。
京へ帰ると薫は一計を案じ、八月二十八日、今度は密かに匂宮を連れて宇治を訪れた。
薫の手引きで、匂宮は容易に中の君の寝所に入り想いを遂げる。
いっぽう薫は大君と二人きりになったが、懸命に許しを請う大君を前にすると、またもや事に及べない。
あくまで大君の心を大切に扱うのが薫の真情だった。
平安人の心で「源氏物語」を読む
山本淳子著 引用
乳母不在で生きる姫君
「総角」巻の大君には、いらいらさせられる。
何度も薫に言い寄られながら、どうしてああまで恋にも結婚にも消極的なのか。
肉食系女子ならば、妹と二人でダブルゴールインし、めでたしめでたしで終わろうものなのに。
「妹に、結婚という人並みの幸せを味わわせたい」
二十六歳の大君はそればかり考えていた。
また大君は「私の結婚など、誰が面倒をみてくれようか」とも考えていた。
確かに、父も母ももういない。
さらに乳母さえも、2人にはいなかった。
最初からいなかったのではない。
大君の乳母も中の君の乳母も薄情な人物で、二人がまだ幼い間に、出て行ってしまったのだ。
平安時代の文献を見ると、史実か虚構かを問わず、乳母こそが養君やしないぎみを守る最後の味方だということがわかる。
養君の親がなくなろうとも、あるいは離婚して出て行こうとも、乳母は生涯を捧げて養君に仕え続ける。
特に養君の縁談においては、親身になって奮闘する。
乳母は無償の愛の源泉であり、世慣れてもいて、養君を導く頼もしい存在だった。
宇治の姉妹にはそれがいなかった。
だからこそ、大君は、自分が乳母代わりとなって二歳下の妹を守ろうと心に決めたのだ。
平安人の心で「源氏物語」を読む
山本淳子著 引用
総角後半
中の君が匂宮と結ばれたことは大君にとって本意ではなかったが、もはや仕方がない。
中の君に後朝の文への返事を書かせ、髪を繕ってやり、結婚三日目の夜は夫婦で餅を食べるしきたりだと聞くと用意するなど献身を尽くした。
その三夜目、匂宮は母の明石中宮に諌めれて出発が遅れたが、振り切って宇治に赴き、夜半近くにようやく八の宮邸に着いた。
結婚の成立に、八の宮邸の人々は喜ぶ。
大君は胸をなでおろすいっぽう、盛りを過ぎた我が身を思い、薫への気後れを募らせるのだった。
ところがその後、匂宮の来訪は途絶えた。
親王である彼には立坊(皇太子を立てること)の可能性もあって、そうそう出歩けない。
十月には紅葉狩りを口実に八の宮邸を訪れる計画が失敗し、匂宮は宇治川の対岸まで来ながら帰ってしまう。
大君はこの恨みから男性不信に陥って、自分は決して結婚すまいと心に誓い寝込んでしまう。
聞いた薫は見舞いに来るが、それが裏目に出た。
薫の従者が八の宮の女房に、匂宮と夕霧の六の君の縁談のことを漏らしたのである。
伝え聞いた大君は絶望し、父の諌めを破ったことを悔いる。
十一月、多忙な行事をおして薫が宇治を訪れると、大君はすでに危篤となっていた。
驚いて親身に看護する彼を、もう大君は拒むこどもせず、そのまま豊明節会の夜に亡くなる。
虚けたようになり、ただ悲嘆に暮れて宇治で日々を過ごす薫。
いっぽう匂宮は、中の君を京に迎える準備を進めていた。
平安人の心で「源氏物語」を読む
山本淳子著 引用
薫は草食男子か?
そもそも草食男子とは、名付け親の深澤真紀氏によれば「恋愛に『縁がない』わけではないのに『積極的ではない』、『肉』欲に淡々とした」男性のこと。
薫は決して肉欲に淡々としていない。
宇治とは別の場所で、しっかり肉食している男子なのだ。
薫が肉食していた相手とは、女房たちである。
彼が貴公子として初めて描かれる「匂兵部卿」巻を読めば、薫は万事につけて人に称賛されるために生まれてきたような男だった。
だから、たとえかりそめであれ彼が声をかければ、なびかない女はいなかった。
しかしそうした女などは所詮遊びの相手だから、彼は適当にあしらうだけだったという。
「結婚しよう」とは言ってくれず、本気かどうかも疑わしい。かといって全く冷淡かと言えば、そうでもない。
女にとってなんと中途半端な相手だろうか。
だがその彼が、時々情けを散らつかせてくれる。
女たちはそれに惹かれて彼が母宮と住む邸にやってきた。
「召人めしうど」志願のおしかけ女房となったのである。
そんな女たちが彼とのはかない契りを心頼みにしつつ仕えている三条宮。
それは彼にとって一種のハーレムだったのではないか。
薫は宇治の大君と何度も夜を共に過ごした。
だが身体を重ねることは遂に一度もなかった。
彼を求めて集まってくる女房や召人たちに対しては肉食系だった。
彼が魂の救いを求めてすがる女性に対しては彼は草食系だった。
ところで気になるのは、後者の女性たちが、宇治の大君と中の君という皇族の末裔であることだ。
そういえば彼が内心でずっと憧れているのは今上帝の女一の宮だし請われてだが結局結婚したのは、その妹の女二の宮だった。
もし彼の中に、貴種の女性に対してひれ伏してしまう何かがあったとすれば、それは実父・柏木が
薫の母・女三の宮を求めた「思ひ上がれる気色(気位の高い上昇志向)」に通じるのではないか。
最初に触れた、貴公子薫を紹介する「匂兵部卿」巻を探せば「思ひ上がりたることこよなく」という同じことばもみつかる。
彼が柏木のDNAを受け継いでいるのは、紛うかたなき事実だ。
たとえ無意識であれ、薫は身分の高い女に弱いのだ。
平安人の心で「源氏物語」を読む
山本淳子著 引用
総角の帖は
薫と大君の発展しない恋愛が
ダラダラと続き
なんともまとめるのが
難しい巻でした。
壱やブログに添う
ことも出来ず
...
😅
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良かったら
覗いてみてね❁⃘*.゚
ここまで読んでくださった皆さま
ありがとうございました。
感謝。
2020年8月1日投稿