☝︎☝︎☝︎
壱やさんの源氏物語を全て
リブログ・リンクしています。
良かったら見てね^^*
二十四帖胡蝶こちょう
「初音」の帖に引き続き 六条の院の晩春から初夏までの物語。源氏三十六歳である。
六条の院の春の御殿は 三月の二十日をすぎてもまだ逝く春が足をとどめ、春たけなわの風景であった。
玉鬘が六条の院に引き取られ早くも半年が過ぎようとしていた。
源氏は新造した竜頭鷁首の船を御殿の池に浮かべ
人々を招待して繚乱の春を惜しみ音楽の会を開いたりしている。
たまたま秋好む中宮も里帰りしてこられたので、中宮側の女房たちを船で春の御殿に招き、盛大な園遊会を催す。もちろん音楽はつきもので夜を徹して人々は愉しんだ。
翌日は中宮のお邸で法会があるので、人々はそちらに移る。
紫の上から鳥と蝶に分けて衣裳をつけさせた可愛らしい女童に供華くげを持たせ船で送り込む。
音楽に合わせて女童の鳥や蝶が可愛らしく舞うのも見物であった。
六条の院のこの世ならぬような栄華の日々が続く中で玉鬘の姫君は次第に垢抜けて美しさと魅力を増す。
源氏の実の娘と思って、内大臣の子息の柏木の中将まで恋文を寄越す。夕霧の中将は、生真面目に実の姉と思って奉仕しようとする。
苦労してきたせいか、玉鬘は六条の院の口うるさい女房たちとも上手に付き合ってゆく。
玉鬘への求婚者は次第に増え、玉鬘目当てに六条の院には若い公達が集まるようになる。
源氏は面白がって、恋文の批評をしたり人物の品定めをするが、婿選びには慎重である。
実は自分が日と共に玉鬘に惹かれ、いっそ実父の内大臣に打ち明けて自分も求婚者に廻ろうかとさえ思う。
源氏の弟の兵部卿の宮を一番最適な候補者とは思うが妻を亡くした宮には愛妾が何人もいるようだからと難癖つける。
熱心な髭黒の右大将は家柄もいいし将来性もあるが
北の方が年をとってきたのと、極度のヒステリーなので厭がっているから面倒だと、マイナス点がつく。
とにかく誰にも玉鬘をやりたくない心境になっているのだ。
紫の上は察しがいいので源氏のちょっとした会話から源氏が玉鬘に対して恋愛感情を抱いていることを知る。
玉鬘に逢う度、源氏は心を抑えきれなくなって、それとなけ恋心を匂わせるが、女の方は一向に気づかない様子なので溜め息を洩らすばかりである。
ついある日、玉鬘があんまり夕顔に似て見えたので
源氏はたまらなくなり、玉鬘の手をとって
「あんまりお母さまに似ているので、気持ちを抑えられなくなってしまった。わたしをあんまり嫌わないで下さい」と打ち明けてしまう。
玉鬘は全く思いがけない事態に呆れはてて情けなくおびえ震えている。源氏は図に乗ってますます掻き口説く。
そうしたある日、雨が止み、月がさし昇り月光が部屋の中までさしこんでいた。女房たちは何となく遠慮してあたりに誰もいなくなった。
源氏はこんな好機はないと、するりと衣服を脱ぎ、玉鬘の横に近々と添い寝してしまう。これはもうただならぬ事態である。そのまま事に及ぶつもりだったが、玉鬘があんまりびっくりして身を堅くして抵抗したので それ以上のことは出来なくなってしまった。
それでも、くどくどと言葉を尽くして掻き口説き、
女房たちにあやしまれないうちに出て行った。その時
「ゆめゆめ、人にこのことを悟られないように」と注意したのは、何とも呆れた親である。
玉鬘は思いもかけなかった源氏の横恋慕に思い悩む日が始まる。
源氏物語巻四
瀬戸内寂聴訳 引用
壱ちゃんの胡蝶のブログは
こちら
☟☟☟
紫式部に恋をして <十五>源氏物語・和歌 胡蝶(こちょう) | 心の扉をあけて 壱やの部屋