お義父さんは、まるで眠っているようでした。
あまりにも寝てるみたいだったので、ちらりと涙は出たけど、そんなに悲しさは出なかった。

逝ってしまう4〜5日前、
「孫たちは来んのか」
とお義母さんに言ってたらしい。
私と長男三男は年末年始に会いに行ったけど(私と三男は1年9ヶ月ぶり)、
次男は成人式の時に会いに行くということで、お正月に行くのはやめてた。
でも、成人式の時には年末からの咳が残っていたので、このご時世、持病を持っている父にうつしてはいけないと帰省を自粛。

また春になったら会いに行こうね、と話していたけど、その「また」は来なかった。
あの時、会いに行かせれば良かった。
「また」が必ず来るとは限らない、
「明日」があるとは限らないのだなぁ。
じいちゃんも、大きくなった次男に会えるのを、とってもとっても楽しみにしてくれてた。
成人式の時に「行けない」と連絡した時、「会いたいなぁ」と言ってくれてた。

じいちゃん、次男もめっちゃ大きくなったよ。
もう20歳だよ。
成人になったよ。
ばあちゃんと並んだら、ばあちゃんが電柱にとまってるセミみたいに小さく見えるぐらい、次男は大きいよ。

父の遺影は、その次男が生まれた時に産院で撮ったものになった。
(最初は別の写真を選んでたけど。不思議な流れで。)
顔をくしゃくしゃにして、とても嬉しそうに笑う父の写真だ。
無口な父が、こんなに喜んでくれてたんだなぁ。
いい写真だ。

葬儀場では、湯灌も目の前でやってくれた。
お湯を掛けたり、拭いたりということも、私たち親族も少しずつやらせてもらえた。
丁寧に、身体をキレイにしてもらえた。
髪を整える時、「いつものお父様ですか?」と聞かれて、ちょっと髪型がいつもと違うかったので、
「違います。ここをこうしてください」
とお願いしたら、2度も直してくれて、いつもの父になった。

こういう心遣いがとても嬉しかった。

このご時世、家族葬なのもとても良かった。
母と私たち家族、そして、近所に住んで父を病院に連れて行ったりしてくれてた父のお兄さん。
7人だけの家族葬。
心を込めて、送ることが出来た。


今、父は煙になって天に登っていっている最中です。
最後まで実感はないけど、いっぱいお喋りして、いっぱい触れさせてもらいました。
もう少しで、みんなで父を連れて帰ります。

お父さん、ありがとうございました。
どこかで見ていてくれてますか。