Yuta.M -5ページ目

緊縮財政が招いた「ルーズベルト恐慌」の二の舞か…

米国で、債務上限の引き上げと財政再建策をセットにした法案が可決しました。

Q.債務限度とは?

 債務限度枠とは、連邦政府による借入の上限のこと。
限度枠内であれば、連邦政府が自由に借入をすることができる。
 現在の債務限度枠は、14兆2940億ドル。
 
 1917年以前においては、議会は、連邦政府の借入については、1件毎に
 承認していたが、第一次大戦が始まり、政府の自由裁量の余地を広げる
 ために、包括承認をするようになったのが始まり。

Q.連邦政府の債務残高は現在幾らあるのか?

 2011年6月29日現在で、連邦政府の債務残高は、14兆46百億ドル。
 (およそ1150兆円)
 
 米国の2010年のGDPは、14兆66百億ドルなので、ほぼ、GDPと等しい額の借金
 残高があることになる。

Q.債務残高が14兆46百億ドルあるということは、既に限度枠の14兆2940億
 ドルを突破しているのでは?

 米財務省によれば、5月16日に借入限度枠を突破し、そのため現在例外
 措置として、8月2日までは債務の支払いを継続することが認められて
 いるとのこと。
 
Q.限度を突破してしまうとどうなるのか?

 連邦政府は、限度枠を超えて借入をすることができないので、仮に借り
 入れができないことによって、連邦政府に資金不足が発生するならば、
 債務を履行できずデフォルトを起こすことになる。

Q.何故、議会はなかなか債務限度枠を引き上げられなかったのか? 

 債務限度枠の引き上げは、過去何度も行われてきている。そして、いつ
 もなら、連邦政府に対する財政規律の責任を求めるような格好をつけて、
 大抵問題なく認めることが多かったが今回は違う。

 借入を抑制する方法は、基本的に二つ。
 一つは歳出の削減であり、もう一つは増税である。
 しかし、今回、民主党と共和党では、この問題に関する考え方が、
 大きく異なっている。
 
 共和党は、歳出削減を主張する。
 例えば、増大し続ける医療関係費。その一方で、金持ち減税
 は続けるべきだと主張する。
 一方の民主党は、歳出削減に消極的であり、
 金持ち減税は止めるべきだという考え方であって、なかなか妥協が見ら
 れないでいるからだ。

Q.今回の法案の内容は? 

今回、限度枠を引き上げるとはいっても、一気に引き上げるのではなく、
最初は、4000億ドル分、(30兆円分程度)
そして第2弾として5000億ドル分、そして、来年早々に1.5兆ドル、
合計2.4兆ドル引き上げを行おうというもの。

これで2012年末までの資金繰りは確保されるとのことだが、
今後10年間かけて1兆ドルの歳出削減を行うこととがセットになっている。

オバマ大統領は、
『今回の歳出削減によって、連邦政府の予算規模は、
 アイゼンハワー時代以来の低さになる』
と言っています。

 米国のGDPは約15兆ドルであり、それに対して今後毎年、900億ドルの歳出
削減プラス1500億ドルの赤字の削減を予定
しています。

15兆ドルに対する2400億ドルは、比率にすると1.6%

米国の潜在的な経済成長力が3%程度だと仮定すれば、
それが半分の1.5%程度まで引き下げられてしまいそうな政府支出の削減になります。

そうなれば、米国の失業率増加、個人消費減少、当然、日本から米国への輸出にも相当の影響を与えることも予想されます。

かつて、ルーズベルト大統領によって、
財政赤字を縮小させるために緊縮財政が執行されました。
ルーズベルト大統領と言えばニューディール政策という公共投資中心の景気対策で世界恐慌から米国経済を救った人物として知られています。けれども、実はその景気対策を止めるのが速すぎたために、大不況を再来させてしまったのが1938年のルーズベルト恐慌です。

1938年3月のギャロップ社の世論調査では『景気の落ち込みを防ぐために政府支出を拡大すべきか』という問いに対し、63%がノーと答えたといいます。
国民全体で緊縮を支持したのです。

 1937年から緊縮財政が始まり、1938年まで続きました。
その結果はてき面!
1938年には成長率はマイナス3.4%にまで下がり、株価はほぼ半値に暴落しました。

武捨ゆうた
 クルーグマンは警告しています。

『この経験からの教訓は、経済が大きく落ち込んだときは、借金を減らす努力を棚上げし、徹底的に景気対策をやらなければならない。
世界大恐慌の際には、戦争という巨大な景気対策により経済は完全復活し、国の借金も消えた。現代は戦争という景気対策は望めないのだから、それに相当するような巨大な景気対策をやらない限り、経済は復活しない』

白星よりも大切な黒星

18日は、寝不足と興奮の一日でした。
早朝のテレビ観戦の気だるさが尾を引いていましたが、こんな気分は悪くなかったです。
輝いている人からは、いい言葉が聞かれるなぁ。とつくづく思います。
「なでしこジャパン」沢穂希主将の会見でのひと言。
「負けてよかった。負けて得られるものがあった」
1次リーグ・イングランド戦のことでした。

評論家や解説者たちは、優勝のためにはこの一番こそ大事、とそろって力説していましたが、白星よりも大切な黒星があったんですね。
負けた反省点が次からの試合に生きた、と沢主将は振り返っていました。
一方、佐々木則夫監督は、
「米国は強かった。試合内容では負けた」
と・・・

早朝のテレビ応援席の素人にも、それは伝わってきました。
「PK戦は時の運。あまりはしゃぐのは、米国の選手に失礼」
と話したのは、宮間あや選手。あっぱれな大和なでしこは、慎み深いですね。。。
大事に当たる時、冷静な目を曇らせてはいけないと、改めて感じました。
一方、首相はオトボケです。
「私も諦めないで頑張る」と・・・
まったく、相変わらずの人です。
何にも分かっていないのか、分かっていないふりを決め込んで、したたかなのか・・・
この国のかじ取りがこうだから、「なでしこ」の感動が余計にまぶしく映ります。

米スペースシャトルから学ぶ~躊躇は犠牲を増やす~

高い木に登ったまま降りられなくなった猫を救出するため、
木を切り倒したり、人間がはしごに登って下ろしたり・・・うっ・・

という話題をしばしば耳にします。ねこ

上に登るのは簡単。下に降りるのは難しいということでしょう。。。うんうん


 今年が30周年の米スペースシャトル計画は、現在飛行中の「アトランティス」の飛行で終了します。宇宙旅行

シャトル引退で米国は宇宙へ人間を運ぶ手段をしばらく失い、ロシアのソユーズに依存することに・・・ロシア国旗
オバマ政権はシャトル後継機の開発や運用は民間にまかせ、NASAには火星探査という長期の大目標を与えました。 地球
そして中国は単独で有人飛行の実績を重ねています。中国

このように宇宙開発の仕組みが変わり、国際協力の枠組みも変わっていくことでしょう ミラーボール

一方、宇宙から帰還できる機能は人類が生み出した最高級の科学技術に思います ドッキング

お星様余談ですが、静止衛星は止まっているわけではありません。
地球の自転と同期して動いていて、地表から見ると相対的に止まっているように見えるだけ。。。実際には秒速3キロ、時速にすると1万キロを超える速度で飛行しています。

スペースシャトルも同様、大気圏再突入時には秒速6キロ、時速2万2千キロに達します。

地表に降りてくるまでにこの速度をゼロにしなくてはいけません NASA

つまり、地球に向かって垂直な速度より、水平の速度を殺すことが大変なのです。

この時生じる、空気との摩擦抵抗で速度を落としているのですが、機体には相当の無理が掛かっています。

少し惜しい気もしますが、費用と安全性の面からは撤退せざるを得ないのでしょう あせる

よく決断したものだと思いますアップ

武捨ゆうた  武捨ゆうた

半導体事業で目の当たりにしておりますが、
科学開発は、投資をすればするほど元を取ろうとして中断が難しいもの 東芝

戦争でも投入した犠牲が大きいほど撤退しにくいという話があります。

「井戸を掘りてあと一寸で出る水を掘らずに出ぬという人ぞ憂(う)き」とも言いますね 井戸(野薔薇付き) 

それまでの努力を水の泡にしたくない、あと少しの努力で成功すると思えば欲も出るでしょう。

撤退は前進する以上の勇気がいるのですえ゛!

しかし、自信をもって開発した製品が不完全であり、メリットに疑問符がつけば、撤退か作戦変更かの決断が迫られるのは世の常あせるドンッ

これまでの投資金額や努力の量以上に大切なのは、これからのことなのです。
躊躇すれば犠牲が増えるばかり。。。!!

時間をかけて撤収作戦を展開中の米国のシャトルは、日本の原発の未来(明日)を思い起こさせます。
武捨ゆうた
アンドロメダ星雲

過去が咲いている今 未来の蕾で一杯な今

 
『過去が咲いている今
    
     未来の蕾で一杯な今』

これは陶芸家の河井寛次郎さんの言葉です。どんぶり
「小さな人生論(2)」で出会いました。sao☆

   武捨ゆうた
他にも河井寛次郎さんにはこんな文章があります。

『何という今だ
 今こそ永遠
 全自分を賭けている時
 この時より他に生きている時があるであろうか。』

河井寛次郎さんは、
「今を生きる」ということに、
強いこだわりを持たれていたと思うんです。


過去を嘆いたり・・・

後悔したり・・・

未来を心配したり・・・

不安に思ったり・・・


エネルギーに変えるためには大切ですが、

基本的にはそんなこと、どうでもいいんだなと気付かせてくれます。星

「今」は、

これまでの結果であって、

これからは、

「今」の結果。

だから、
今起きていることは、ただ結果として起きているだけのこと。
それを「楽しい」と思うか、「悲しい」と思うかは今の心が決めるだけなんですね。

過去が良くなかったとしても、嘆く必要はないんです。

これからの未来は、

今にかかっているのであり、

過去にかかっているのではないんですから。。。


“過去が咲いている今 未来の蕾で一杯な今”


今を大切に生きよう、と心がスッキリしませんかはてなマーク

そして、今この時に努力をしよう、と奮い立ちませんか!?


すべて自分に起こることは意味があって起こります。

過不足ないと信じていれば不満を感じることもないんです。


私はいま29歳ですが、29年間待ちに待った年が来たと思っています。

これからも、世の中が進化し、私も進化し続ける。

私が最高潮に達するのは死の間際です。

武捨ゆうた
出典:
『蝶が飛ぶ 葉っぱが飛ぶ』:河井寛次郎著
『致知』2005年1月号:致知出版社
『小さな人生論(2)』:藤尾秀昭著

※今日の言葉は、河井寛次郎さんの「手考足思」という詩の最後の文章です。

手で考えて足で思う・・・

つまり、頭の中で理屈ばかり言っている中では物は動いていかない。
頭でっかちではだめなんだということです
陶芸家である河井さんは手と足というものを使って考えたり思ったりすることが
いい焼き物をつくるんだという意味で言ったんだろうと思います。

自らを死地に追い込む~孫子~

疾(はや)きこと、風の如く
徐(しず)かなること、林の如く
侵掠(しんりゃく)すること、火の如く 
動かざること、山の如く
知り難きこと、陰(かげ)の如く 
動くこと、雷霆(らいてい)の如し

武将、武田信玄が旗印として使用していた『風林火山』侍

これは、中国は春秋時代の呉の将軍・孫武が書いた兵法書『孫子』の軍争篇の一説を引用した物です。

武捨ゆうた
上記の一説の意味は、

「疾風のように早いかと思えば、
林のように静まりかえる、
燃える炎のように攻撃するかと思えば、
山のように動かない、
暗闇にかくれたかと思えば、
雷のように現れる。」

ということです。

ドラッガーによるマネジメントも面白いですが、
『孫子』による戦略はもっと面白いと思います。

武捨ゆうた

「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」
と、
戦うことなく勝利することを理想とし陰謀や策略などをともなう外交、政治的駆け引きを極度に重視した人物です。。

少しご紹介していきます。うさぎ先生

孫子の『九地篇』に、
「三軍の衆を聚(あつ)めてこれを険に投ずるは、此れ将軍の事なり」

「これを死地に陥れて然る後に生く」
という言葉があります。本

(どこに行くかとかそういうことは一切兵には秘密にして、)
「兵士に全力を出させるためには死地に追い込んで戦わせる。
これは、将軍の大事な仕事だ」
というのです。

軍を死すべき状況に陥れて初めて生き延びる・・・というのです。顔1

決死の覚悟で何かに取り組む・・・!!

つまり、「背水の陣」ということです。

さらに、
「兵の情は、囲まるれば則ち禦(ふせ)ぎ、
 已(や)むを得ざれば則ち闘い」
とあります。

「囲まれたなら

 [命ぜられなくとも]抵抗するし、

 戦わずにいなくなると激闘するし、

 余りにも危険であれば

 従順になる。」

ということです。

本当に敵を追い詰めてしまうと、逆に相手方が背水の陣を敷く。

すると、こちら側が思わぬ痛手を被ることがあるということです。え゛!


自分が死地に追い込まれたときは、背水の陣で戦わなければならないが、
相手を背水の陣に追い込んではならない。
というのが孫子の教えです。キラキラ

要は、
逃げ道をつくれ!
 そうすれば、相手はそこから逃げていくというわけです。

社会で言えば、
企業の目的は競争相手を叩きのめすのではなく、
あくまでも顧客に良質のサービス、
良質の商品を提供するのが第一
です。

本当に正しい企業戦略とは優れた「顧客戦略」に尽きますよね。

競争相手ばかりに目を奪われると、企業は本来の目的を見失ってしまう。 。。

孫子の『地形篇』では、
『卒を視(み)ること嬰児(えいじ)の如し・・・
 卒を視ること愛子の如し・・・』

「赤ちゃんのように、わが子のように愛さなければ、兵士は将と生死をともにしようとは思わない」
と言っています。

リーダーシップ論ですね。

『孫子』の目的はあくまで国を強くし、人を豊かにすることでした。

それが目的ならば、戦うことが目的ではなく、勝つことさえも目的とはなりません。

企業の目的も同じ。

顧客を満足させさえすれば、自分の会社は報われる。

その結果、競争相手の存在は、「競争」相手では、無くなるわけです。

「戦う必要もない」という循環になっていくのです。


「孫子」の戦略は、企業戦略に生かせる
 きわめて近代的合理性を持っています。