端的に言う。
私はこの家が嫌いだ。
周りから見れば理想の家庭。
いや、周りから見なくても理想的だ。
間違いない。
母は送り迎えに来てくれ、帰ってくるまで決して寝ることはなく、どれだけ酔って帰っても、知らない男と一緒に帰って来てもほとんど怒ることはない。
むしろ、暖かい部屋とふかふかの布団を用意してお帰りなさいと歓迎する。
父は優しすぎるくらい優しく、怒られた記憶はほぼ無い。朝帰りをしても、おはようと言われるだけだし、男友達を家にあげても、泊まらせても怒鳴り声一つあげられない。
どうして、どうして私はこの家が嫌いなんだろう。何度考えてもわからない。
申し訳ないが未だに反抗期かもしれない。
家族の誰にも干渉されず、期待されずに育って来た。反発しても誰も気づいてくれない。
決して甘やかされて育ったのでは無い。
姉が家に帰ってくれば、母は姉のことしか考えなくなる。
起きたら家に誰もいないなんて日常だ。
私はこの家が嫌いだ。
だが、こんなにも恵まれた家に、家族に生まれたのにこの家を嫌いと思ってしまう自分が一番嫌いだ。親不孝でごめんなさい。許してもらう気はありません。
たぶん、私はこの家を出るまでこの家が好きにはなれない。