もしも。もしも今からタイムスリップできるとしたら。
今年の秋はいつもと違って、暑くなったり寒くなったり、気持ちが落ち着かない。
今日は、一段と冷え込んだ。まるで、真冬のような寒さ。
朝起きて窓を開けると、肌に刺さるように冷たい風が吹き込んだ。
ーーもうこんな季節か。
独り言を言って、ベットから起き上がる。
冬は何故だか、人肌が恋しくなる。訳もなく切なくなったり、訳もなく人に会いたくなったり。
今年のクリスマスは誰と過ごすのだろう。ありがたいことに彼氏はいるが、絶賛喧嘩中だ。
着替えて、髪をとかして、いつもより少し早く家を出た。
すれ違う人は誰も知らない。名前も年齢も、勿論その人の生きてきた道も。同じ世界にいるのに、何も知り得ない。まるで別世界を生きているような、そんな感覚。
そういえば、でも運命の人と出会う前にすれ違っている確率は高いって聞いたことがある。
私はもう出会っているのだろうか。
運命の人と言われているそんな人はいるのだろうか。
学校に行くと、周りの女子の話題はある少女漫画だった。
orangeとかいうらしい。
私はそういう話はめっぽう苦手だ。少女漫画なんてただの一度も読んだことがない。あんな世界こそ私とは無縁であるに違いない。
ーーねえ、知ってる?あの漫画、映画化するんだって!
ーーへえ。知らない。
私には関係ない話だ。
ーーなにその興味なさそうな感じ。
ーーだってないんだもん。
ーーあ、ねえタイムスリップって信じる?
友達がよくわからないことを聞いてきた。
ーー何、急に?できないに決まってるじゃん。
ーーいやだって、この漫画ほら、10年後の私から手紙来るんだよ?なんかそういうのほんとに起こったらすごいなって。
ああ、また漫画の話かと私は呆れた。
ーーそんなの夢物語だよ。
ーーやっぱ、ないか。だよね。漫画だもんね。
チャイムが鳴った。先生が教室に入ってきて、朝のHRが始まる。まあこんなのHRでもなんでもなくて、ただの出欠確認。
一時間目、現国。どうも、この先生の授業は眠くなる。周りの女子は寝てしまっていて、話し相手がいない。
ふと、さっきの友達の話が頭をよぎった。
「タイムスリップって信じる?」
もし、本当にあったとしたら。
私はいつに戻るだろうか。それとも未来か。
未来を見たいという好奇心もあるが、やっぱり過去に戻りたい。
理由は単純だ。過去の楽しかった思い出を思い出としてではなく、今として味わいたいから。
あの時のあれが楽しかったなと振り返るのではなく、楽しかったまさにその時まで戻りたいからだ。
あの、好きで好きで仕方のなかったあの頃に戻りたいからだ。どうしたら戻れるのだろうか。どうしたら素直になれるのだろうか。どうしたら。
答えの無い問。答えてくれる人はいない。唯一の答えは自分の中とでも言えるだろうか。
ーーおい。当たってるぞ。
現国の先生が私の方を見た。
私は慌てて、いつの間にか閉じてた教科書を開いた。