ガン告知から2年半、標準治療を拒んできた母が、
何故放射線治療を受けたのか・・・
一言で言えば、
『骨転移の痛みに耐えられなくなったから』です。
告知から2年経った頃、まだそれほど痛みと言うものもなく元気でした。
その半年後には、歩くのも困難なほどに骨に激痛が走っていました。
咳をする事、鼻をすする事も難しく・・・
骨転移の痛みがどれ程のものなのか・・・
「虫歯の痛み(歯の神経の痛み)が体中にはしっている様な痛み」と例えている人がいました。
かかりつけのの病院がなかなか見つからず、相談できる医師もいませんでしたが
そんな時に川崎の医師に出会いました。
母はその先生をすっかり気に入ったようでした。
先生に痛みの事を告げると、放射線治療と医療用麻薬を勧められました。
ただ・・・先生は決してそれによって『治る』とは言いませんでした。
あくまで『痛みの緩和目的』としてでした。
放射線を始めるとなれば毎日通う事になるので、実際には地元の病院の放射線科を紹介してもらい
7月から8月にかけて、約15回の放射線治療を始めました。
母の骨転移は既にかなりの箇所にありましたが、一度に出来る量は限られているので
一番痛む胸骨・背骨の辺りを中心に行いました。
初めて受けた時、母は、
「全然なんてことない」「何かされてるって感じもしないし、本当にあててるの?って感じ」
と感想を言ったのを憶えています。
10回程通った頃からか、さらに痛みが悪化しました。
その説明は受けていました。
放射線の効果は終わってからようやく現れてくる、その前に痛みが増すことが多い、と。
そして、骨の痛みに加えて食道も痛み始めました。
お腹が空いても痛みで水分すら摂るのが難しい時期でした。
放射線・・・目には見えなくても、確実にあたっているのです。
周辺臓器・細胞へのダメージもあり、痛み軽減の代償は確実にあります。
それでも・・・治療が終わる頃、急に骨の痛みがひきました。
それまでゆっくりと引きずる様にしか歩けなかったのが、驚く程普通に歩けるようになりました。
放射線治療の効果を得られるのは、80%程との事です。
残りの20%は・・・頑張った甲斐なく効果が得られない、という事です。
母の骨にはとりあえず効果があったんだと思います。
ただ、この効果は一生の保証ではありません。
放射線は一度あてた場所へは再度あてることはできません。
各箇所、一回きりの治療なのです。