302号室 (由依×佑唯) | mimimimi◢͟│⁴⁶ 小説

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引越し屋さんのトラックが来た


「ここの荷物全部お願いします」と、君が引越し屋さんに指示を出し、荷物が運び出される


私はその様子を部屋の隅っこで眺めるしかできなかった



「もう運ばなくていいです」
なんて言えない、止めることなんてできない




二年間、君とこの“302号室”で暮らして思い出もたくさんある


家事をサボって喧嘩になったり、買い出ししてなかったり、お揃いのものを買ったり、思い返せばたくさん楽しいことも辛いこともあった


それなのに、あんなにあっさり片付けられてしまうんだね……




なんでこうなってしまったんだろう。
あのことがきっかけなのかな…


でも、それはどっちが悪いとか誰も審判出来ない…



恋は金属疲労みたいに終わるんだから。





私たちはずっと一緒に居すぎたのが原因なのかな



いつしか交わす言葉が減っていった



この結末が見えてたーー見ないふりをしていたせいだ






ある日、ソファーに座り風船ガムを膨らませる君。


膨らませた風船ガムが割れたらまた膨らませ…それを繰り返していた君は退屈そうに見えて色々と考えていたんだね。



そのガムを捨てて、君は言った。



「ねえ、ゆいぽん、別れよう?」


「え、なんで…?」



分かっていた、この恋はそう長くはないことを



君といる空気は前より息がしづらくなっていたこと。



「……新しい道を見つけたから」



その言葉は嘘なんだろう…間があったから



その一言はグサッと心に刺さった。
そのまま思考が停止した。




ずっと一緒にいたじゃん……




「明後日にはもう引越し屋さんが来るから、それまでここにいさせてください。」


「うん、わかった」



私も嘘をついた。「わかった」だなんて…分かりたくない。なんで「嫌だ」と言わなかったの?




だってずーみんのためだから…





ずーみんが決めた道だから、いくら私が止めたってどうにもならないんでしょう?




それから引越し屋さんが来るまで一緒に生活をして、やっぱり君が好きだ と思ったけど伝えれない




強がって涙堪えていたのは君も一緒でしょ……部屋で泣いていたの知っているよ




「やっぱり嘘だよ」なんてお互い言えないかった。




君の荷物が全部トラックに積まれた。



「ありがとう、ゆいぽん」


「こちらこそありがとう、ずーみん」


「じゃあね」





ガチャン




ドアが閉まった。





部屋を見回す…



あれ、こんなに部屋って広かったっけ?




今更、失ったものの大きさに気づかされる。




ずーみんがいることが当たり前の日常だったから、ずーみんがいないなんて違和感でしかない。




ずーみんがいたのが幻だったのかな…なんて考えたりしている。




窓際の君のベッドの形にそって、絨毯が日焼けをしている。



この部屋に住み始めた時は、こんな日焼けなんてなかったーーーまるで私たちの恋みたい



あの頃から何も変わらないものなんて私たちにあるのだろうか






ねえ、ずーみん。
部屋の合鍵は返さなくていいよ、どこかに捨てていればいいよ。



もしこの部屋に来たくなったら、いつでも部屋に入ってくつろいでいたらいいよ



どんなときもドアが開くように、鍵なんてかけないから。






ずーみんを引き止めていたら…どうなっていたんだろう。



失ったものが大きすぎて、現実じゃないみたい。



でも、ずーみんはずーみんの道を行くんだから、ずっとそばにいた私が背中を押さないとずーみんは立ち止まってしまう




いつでもドアは開いてるから。




寂しくなったら戻ってきてね。




ずーみんの笑顔が大好きだから。











もう二度と戻ってこないーー分かっている。でももう少しだけ夢を見させて?