今から7年前
【魚屋のまかない飯ランチ】をスタートさせるにあたって、
気を使った事がある。
実際に卸しとして仕入れに来てくださる寿司店・料理店の邪魔をしないという事だ。
鮮魚店直営でそういう業種をやると、他店よりも断然安い価格でも提供できるのだが、
せっかくうちで仕入れをしてくださる居酒屋や寿司店・料亭のお客様に対して
失礼にあたるので、あえて「お昼のランチだけ!」と謳ったのだ。
夜のお店を営業している卸しのお客様と時間帯がかぶらないように
最大限に大切にしたつもりだった。
ところが、、、
ちょうどラジオ番組に出演してたその日の夕方。
オープン日程をラジオで公表した旨を、仕入れにきていた寿司店Mの大将にお話した時の事だった。
彼はみるみるうちに形相が変わり、突然堰を切ったように怒鳴りだした
「あんたは本気でそんなことをやるのか?!」
「あんたがそのつもりなら、俺はもう二度とここから仕入れないからな!」
え? え??
今までその件についてはずっと説明してきたはずだった。
お店の営業時間や仕入れ時間とかぶらないように、
邪魔をしない、ご迷惑をかけない、、と。
「ランチを簡単に考えるんじゃない! うちだって何度かやってはうまくいかないんだぞ!」
「だいたいランチをしたって儲かるはずがない!」
「俺がこの店で、どれだけ仕入れしてやってるのかわかってるのか?!」
とにかく矢継ぎ早にまくしたてる。
ほとんど毎日、仕入れに来ていただいてるので
テーブルが一つ増え、メニューができ、ガスがきて、、、という
準備段階だって目にして、報告もしていたはずなのに、、、
まさか、どうして今になって?!
今まで何も言わなかったのは、なぜ?
「いえ、だからMさんにはずっとお話してきたはずです。
ご迷惑がかからないように仕入れ時間もランチとかぶらないようにして、、、」
言い終わらないうちに
「迷惑なんだよ!絶対に迷惑がかかるから言ってるんだ!」
意味がわからない事でも怒鳴られる。
「SNSを教えてやったのは俺だ!」
はい。確かに・・
だからずっとわからない部分は聞いてきたし、感謝もしています。
だけど、それとこれって関係ないのでは?
もう口を開くだけで何倍にもなって返ってきて、会話にならない。
ただただ
「はい。」「はい。」「すみません。」「申し訳ございません。」
と、繰り返すのみでうつむいて唇を噛みしめる。
彼の怒声は、自分で自分に酔ってきているかのようだ。
すでに30分も続いている。
こうなれば、ただ嵐が過ぎ去るのを待つしかない。
なぜここまで言われなければいけないのだろうか、、、、
ちゃんと順番を考えて、言葉にしてきたはずだった。
悔しい。理不尽すぎる。
他のスタッフも黙ってその様子を見ているしかないようだった。
やっとその時、
助け船の小売りのお客様がいらっしゃった。
「はい、いらっしゃいませ」とスタッフが表に出たのを見計らって
私も表に出るふりをしてトイレに駆け込んだ。
悔し涙が止まらない。
旦那でもない人に、なぜここまで言われなければいけないのか。
私はそんなに悪い事をしているのだろうか。
彼にとってそんなに迷惑だったのだろうか。
地団駄を踏んで、声を押し殺して泣いた。
涙が止まって落ち着くまで、いつまでもトイレにこもって泣いた。
だけど、いつまでもそこに気持ちを引っ張られる訳にはいかない。
もう動き出した事。
リスクも何もない。
大切なお客様だけど、気にいられないのなら仕方がない。
きっと明日からの仕入れは、もうないだろう。
大丈夫!だいじょうぶ。
私には、味方でいてくれる人もたくさんいるから!
涙を拭いて上を向いた。
「おまえはアイデアマンやなぁ。すごいなぁ」
と褒めてくれる納め先の料亭の兄さん。
食器や調理器具を分けてくれた居酒屋のマスター。
ちゃんと私の想いも伝わって、配達先や納入先のお店の方も応援してくださる。
SNS友やお客様からも
「楽しみにしてるよ!」
と声をかけていただける。
本当にたくさんの皆さんに支えられているのだ。
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新しいことを始める時、色んな人の声が聞こえる。
反対して足を引っ張る人。
応援してくれる人。
自分の気持ちが上がる人に意識を持っていこう。
離れる人はそのタイミングで離れるようになっているから。
感謝の気持ちでスタートさせるために!