彼の数十年来の友人。
今は年に1,2度連絡を取り合うぐらいだけど、
大切な友人らしい。

私も数回あったことがある。
その人も私も三国志が大好きで、
彼そっちのけで話が随分盛り上がったことがある。

その人もまた体調を崩したりしていた。
彼が入院する前から体調が悪かった。
でも、なんとかかんとか退院したようで、
突然彼に電話してきた。

「オレンジとか、ミカンとか、酸っぱい果物がほしい。」

自宅療養で体力もまだ整わず、
自分で買いに行くのは困難なのだろう。

私はすぐにデパートに買いに行った。

店員さんに
「できるだけ酸っぱいミカンとかオレンジがほしいんです。」
というと、
「あー、酸っぱいものってあまりないんですよねぇ。」

ですよね、今日日なんでも甘さが売りだよね。
酸っぱいものなんて売ってない。

「酸っぱい果物でしたら、レモンぐらいしかないですねぇ」
店員さんはあれこれ一緒に探してくれたけど、
結局答えはこれ。

そこで、店にあった柑橘類を全種類少しずつ箱詰めしてもらった。

よくあるものから、珍しいものまで、結構大量だなぁ。
最後にレモンを1個入れた。

なんでもそうだけど、
本来の味って、なんだっけ?

小学生の頃、夏休みに友人に招待され、愛媛県に行った。

朝早く起きた。土の道、土の香りが珍しく、ウロウロしていた。
友人の家の隣の農家のおじいさんがもう畑に出ていて、
「食べてみ」といって大きなトマトをくれた。

あの時のみずみずしいトマトは私の記憶にずっと残っている。
デパートやスーパーで沢山売っているフルーツトマトみたいな甘さはないけど
あんなに美味しいトマトはそれから食べたことがない。

かろうじて箱詰めした沢山の「とりあえず酸っぱい」柑橘類。
喜んでくれたらいいな。