みさの小劇場ウオッチ日記



公演期間 2013/03/16(土) ~ 2013/03/17(日)
会場 東京芸術劇場 プレイハウス
出演 椿千代、平野進一、ほか
脚演出 栗城宏、安達和平
料金 4,000円 ~ 6,000円
サイト http://www.warabi.jp/tono/top.html


岩手県遠野地方に伝わる民間伝承を題材にした柳田國男の「遠野物語」の世界を新作歌舞劇で描いた舞台。津波に遭い舟を失った福二は仕事を探して故郷を出るが、山の中でもののけ達に次々と襲われる。間一髪のところを助けたのは神隠しにあい山に住んでいるおひで。福二はおひでのお蔭で山を脱出し遠野の里へたどり着くと、座敷わらしや河童、そして彼らと心を通わせて生きている遠野の里人と出会う。この世とあの世が交錯する不思議な光景に少しずつ心を解きほぐしていく福二だったが彼の心には消し去れない心の痛みがあった。それは妻との別れであった 。


しかし、里人たちと触れ合いながら彼らの逞しくどこか大らかに、妖怪や神様の存在を借りながら生きる姿勢を見つめて、福二はあらためて思うのだった。思い通りにならなかった事も受け入れて、明日に向かってまた歩み出さなければいけないと・・。福二の心の迷いを解き放つ、成長物語。


序盤で魅せる舞台セットが美しい。また妖艶な女性の美しい舞にも魅了された。元々、民話は好きなので数人の座敷わらしが登場した場面ではワクワクした。また福二を巻き込んで遊ぶ座敷わらしの歌や踊りが可愛らしく、一方でどこか不思議な光景を垣間見たように感じられた。彼女らのリズミカルな踊りや透き通る声で歌う妖歌は山間で開かれる妖怪たちの宴にも似ためくるめく童女世界。とても神秘的な香りが放たれ、オモチロイ。観ているワタクシは心が満たされ一杯になってパチンと弾けそうになった。笑


そして銀杏の葉っぱをさかさにしたような形のオカッパ頭のてっぺんで髪を結んでいる、わらし達はずっと遊びほうけて夜が来ないようにも思われた。
きゃっ、なんて素敵。
思えばこのシーンが一番好きだった。


そして勿論、キャストらの演技力と声量にも魅了される。全体的に衣装、演出、音響、全てにおいて秀逸な舞台だった。スタッフワークも完璧。エネルギー溢れる舞踊詩の舞台


しか~し、第二部 舞踊集「故郷」 は東北の民俗芸能で「海の唄」「花の舞」「念仏踊り」「虎舞」「喜び舞」と中国雑技団のような踊りばかりだったので好みではなかったのが残念。
次回は芝居だけの公演を観たい。