みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2013/03/13(水) ~ 2013/03/17(日)
会場 上野ストアハウス
脚本 佐藤秀一(演劇ユニット3LDK)
演出 奥村拓
料金 4,200円 ~ 5,000円
サイト http://sorarine.com

同じ脚本を3人の演出家で上演!その第一弾として「typeA」を観劇。「3年B組金八先生」でデビュー、映像や舞台で活躍の永井友加里がたちあげた演劇ユニット「ソラリネ」。
そのソラリネの第六回公演は、1つの脚本を3人の演出家がそれぞれの解釈と演出で創り上げるというもの(TypeA,B,C)。


実はこういった同じ脚本を数人の演出家で上演するという企画を個人的にあまり好きではない。脚本が同じ物語を演出家が違えども、何度も観たい気がしないのだ。だから、ワタクシはこれ一回きりなので、投票による男女各一名ずつのMVP、最優秀ちーむ賞決定(結果発表はUstream配信!)には参加しない。


同窓会の案内が届き、彼らは久しぶりに母校へと訪れる。木下に埋めたタイムカプセルを掘り返すために僕らは再び集まったのだ。しかしその案内ハガキには差出人がなかった。そして教室に一番乗りした千夏。千夏は亡くなった大樹の妹だったが、どうにもこうにも行動や言動が18歳に見えない。まるで幼稚園児のようだ。知恵遅れなのだろうか?


そして大樹は彼らが高校生だった頃、大人たちに任せておけないとダム建設に抗議し、教室に立て篭もった最中に病気が悪化して亡くなったのだった。寂れた校舎の中で、全校生徒12人のうち11人は再会を果たす。一人足りない、同窓会だったが、ダム建設と闘ったあの頃の思い出と現在の彼らを交錯させながら、描いていく舞台だった。


埋めたはずのタイムカプセルの中身が不思議な手紙と摩り替えられている展開が気になる要素いっぱいの物語で、TypeAの演出は、テキスト重視を貫きながらの清新な解釈と空間を生かす演出には定評がある奥村拓。役者の着替えのシーンを舞台の隅っこで着替える演出は意外に新しくない。こういった演出の場面を最初に観たのは2~3年ほど前だろうか?その後、舞台上の着替えシーンは何度となく観ている。また、舞台上でキャストらが次の出待ちをするのはアゴラ劇場の得意技だ。


一方で、死んだ大樹がナビ役を勤めたが、意外にこれが説明を加筆する意味で良い効果を生んでいた。役者では恭介役の演技力がイマイチ。反対に田中悟役の寺山武志と高橋里菜/能條由宇の演技力が光ってた。個々の心に後悔の念と重荷を背負いながらも悲しくも狂おしい少年時代を描いた秀作だった。


そして導入音楽が絶妙!井上陽水の少年時代「夏が過ぎ 風あざみ・・・・」。