公演期間 2013/03/07(木) ~ 2013/03/10(日)
会場 シアターシャイン
脚本 テネシー・ウィリアムス
演出 石丸さち子
料金 2,500円 ~ 3,300円
サイト http://polyphonic.la.coocan.jp/polypho/top.html


欲望という名の電車で世界的に有名な"テネシー・ウィリアムズの舞台短編集より、「風変わりなロマンス」「財産没収」「バーサよりよろしく」「話してくれ、雨のように・・」「ロング・グッドバイ」の5本を上演。登場人物の殆どは非現実的で生命力に欠け、病んでいる。ウィリアムズ自身がバイセクシャルなゲイであった事と、精神病院に入っていたこと、またその病棟が狂暴性患者のものであったことと関連しているのだろうか?


日本の新劇はテネシー・ウィリアムスの戯曲が大好きなようで幾度となく繰り返され上演されてきたが、ワタクシ自身、未だに飽きる事はないのである。それは本作はもとより、演出家の敏腕さも影響するのだ。今回の演出家の石丸さち子は好きな演出家の一人でもある。彼女の演出家としての履歴をみると、なかなかどうして強者なのである。笑


そして起用されたキャスト陣の秀逸な演技力も加味され実に有意義な観劇時間であった。特に沖直未が演じる薄汚れた安宿の未亡人役はあまりにも絶妙で感心したほど。


更に今回も異色っぷりを披露した清水那保の存在は書かないわけにいかない。笑
彼女は「DULL-COLORED POP」 という劇団のトップ女優だったが、ここから独立してピンで活躍の場を広げた。そして清水に目を付けたのが演出家の石丸さち子だ。このタッグが素晴らしい。5作目にサーカス団の綱渡りのように登場した清水の奔放な演技力に客席後方で笑いながら見守る石丸の表情が幸せそうだった。


実はこういった舞台の袖で観られる人生のドラマを垣間見るのが好きである。これは小劇場でしか味わえない醍醐味だ。そして清水は多くの経験をして人生観が変わったのだろうか、終幕に客席に手を合わせて感謝の意を表していた。そんな清水を応援したいと思う。清水は6月にも石丸の演出でアンサンブル室町公演「帝国の建設者」に出演する。清水の舞台にかける爆発力と石丸演出の狂想曲は案外、しっくりいくのではないかと感じる。


伊藤靖浩の次回出演の「ハルメリ2013」は観に行く予定。