みさの小劇場ウオッチ日記



公演期間 2012/12/26(水) ~ 2012/12/30(日)
会場 OFF OFFシアター
出演 秋枝直樹、、金子あずみ
脚演出 中村匡克
料金 3,500円 ~ 3,800円
サイト http://www.sponge77.com


葬式の一日に起こる様々な出来事を描く家族もの。相変わらず、舞台装置の古びた感じ、音響、照明といった裏方の技術が素晴らしい。舞台は昔ながらの団地のリビングそのもので、さびれた感じが良く出ており、二部屋続きもありがちで、舞台に動きが出て良かったと思う。窓を開けた時だけ工事の音が聞こえるのも、とても自然だった。また、窓ガラスの汚れた感じ、換気扇のうす汚い感じは、より理想どおり。


時間経過に伴い、部屋に日が差し込む様が変わるのも流石!やっぱ、中村匡克の見事な演出を再確認した舞台だった。冷蔵庫やレンジの古びた感じ、後付けの板に取り付けられたガス給湯器、電話台やソファー、チェストなど、年季が入った家具も絶妙。


脚本は、性格の違う3姉妹と周囲の人々を巡る物語をテンポよく描いていたと思う。それぞれのキャラクターのバランスが良く、最後まで楽しく見られた。家族構成、現状、これまでの経緯など、台詞から自然に伝わってくるのも素晴らしかった。田所(牧野はやと)は登場しただけでその存在感が重厚で、う~ん。。と唸ってしまうほど。また、白鳥(金子あずみ)は数年前、偽祈祷師役を演じた場面が重なって懐かしかった。


終盤で登場する雨宮(金子勝昭)の件は母親との関係をを想像するしかないけれど、スポンジは結論を提示しないのが特徴で、これらの展開も好みだった。なんだかんだあっても、最後に3姉妹がいつもの様子に戻ったことで、この物語は収束するが、次女の雅代(太田幸絵)の浮気がばれて、うろたえる雅代の夫・洋平(秋枝直樹)の表情が素晴らしかった。浮気した妻を気遣う夫が、なんか哀れで・・。


この劇団の素晴らしいところは、毎回、きっちりと演技力のある役者を起用するところだと思う。


演出では、テレビ画面を利用してタイトルや場面転換を行っていたのが良かった。テレビをザッピングするように場面が変わる感じ。また、比較的狭い空間を、役者が上手く立ち回るのが見事だった。特に田所と美紀(如月萌)の立ち回りの場面は、舞台上にキャストが多いのに動きがスムーズで、秀逸だった。DJケンヂのノー天気なオチも良く、案外、タイミングが難しいのだろうなー、とか思う。梶原(杉山雅紀)の序盤から終盤までの表情の見事さも圧巻!


どのキャラクターもキャラ立ちが素晴らしく観甲斐のある舞台だった。みんな、いい仕事するなぁ。次回も観たい。