みさの小劇場ウオッチ日記


公演期間 2012/12/21(金) ~ 2012/12/24(月)
会場 d-倉庫
脚演出 塩澤剛史
料金 2,800円 ~ 3,800円
サイト http://soraism.poo.gs/

当日パンフに「クリスマスに叶えて欲しいお願いは?」の質問にキャスト達の50字程度の願い事が載ってるわけだけれど、これって、あんまり意味ないよね。キャスト達の親しい人や家族なら読んで楽しめるのかも知れないけれど。年賀はがきに家族の写真を載せて送付されるようなもんでしょ。だったら、登場人物の相関図を載せるとか、役柄の説明とかの方が舞台に対する観客の理解度が深まるってもんでしょ。


ゆうきはホームレスのマクートから指輪を貰う。それは願いを叶える指輪だ。しかしその指輪が叶える願いは指輪を付けた周りの人々の願いだった。 そして人の願いが叶うと同じだけの不幸が指輪を付けた者に降りかかる。だから願いが大きい分だけ、指輪を付けた者には大きな不幸が降りかかるのだった。


マクートはこの指輪の効力を利用し、ゆうきに指輪を付けさせ、世界征服を目論んでいた。マクートは前に勤務していた会社の金を横領し、殺人も犯して、ここに逃げてホームレスに成りすましていたのだった。何も知らないゆうきはマクートを信じ込み、家族の警告にも耳を貸さなかった。しかし、状況はゆうきの意に反してどんどん悪くなってしまう。姉の美樹の夫が事故により重体になり、これを期にマクートの潜入捜査をしていた刑事らもマクートに撃たれて瀕死の状態になってしまう。他のホームレスらも美樹もマクートに撃たれてしまうのだ。彼らを元の状態に戻すためにゆうきは自分の命と引き換えに一世一代の願いをするのだった。


ワタクシの観た回はとにかく役者がカミまくり。これだけ噛んだらガムも蕩けるわ!の勢い。また喜劇ファンタジーのようだけれど、笑わせ方にセンスがない。登場人物全員を一旦死なせて、また生き返らせる手法は、少し安直なようにも感じて気持ちが劇に共感できなかった。また、笑いとシリアスの基本的なバランスが悪いように感じた。下手な歌も要らないし、笑えないコメディも要らない。いっそのことシリアスだけで突っ走ったほうが良かったような気がする。


一方でセットがリアルで随所に公園の風景がにじみ出ていた。またホームレス役の役者たちの所作がリアル。指輪うんぬんより、ホームレス達の社会から逃げてここに居る理由のほうが説得力があったし、社会のしがらみも何も背負っていない彼らの心の吐露の場面が妙に心に響いた舞台だった。