理解できないから分類したがるみたいに感じる。
精神と肉体を分け、良家の子女と娼婦を分けて、一人の女のなかに同時に存在できなさそうな組み合わせを入れ込んでみる。
そんな単純な組み合わせじゃないんですよ。
一人の中にすべてが入り混じって状況と相手によって組み合わせを替えて現れるんですよ、しかもどれも心の底から本当なんです、と言いたい。
しかしこの人の描写はなんというかぐっとくるものがある。
いやらしさだけをもとめているわけじゃなくて、その先にあるもっとよくわからないものを目指しているからこそ醸し出されるいやらしさ。
解説に依れば異色の短編といわれているらしい「漂う部屋」がとても面白かった。
でもいまこのとき私には漂う部屋しか見えなくて、戻っていくべき下の世界があるのかどうかわからない。
きっと私だけではないと思う。