不意に乗ってしまった過去行きのタイムマシーン。
気付けばわたしは高校3年生。
当時住んでいた自宅マンションの屋上に母と佇んでいた。
何が原因だったかはもうすっかり忘れたけれど
家族で大喧嘩をして
わたしはしきりに母に離婚を勧めていた。
父はちっとも儲からない会社を経営していた。
母はいつも仕事を2つかけもちしていた。
「お母さん、もう離婚したら。」
わたしのこの言葉に
母は
おかしさを噛み殺したような妙な笑顔で
「あんた、お父さん、あれだけ家族を好きな人やのに、離婚して引っ越ししたら来なくなると思うか」
わたしははっとして答えた。
「いや、来るわ。」
「ほんなら、わざわざ。離婚してもいっしょやん。籍汚すだけ損やん。」
「ほんまや。」
と二人でお腹を抱えて大笑い。
その時、わたしは心の底から安堵した。
母は私が思うほど不幸でもなく
父を愛してなくもない。
「お母さん、
ついでに聞いとくけどお墓もお父さんといっしょでいいの。」
「いいよ。だってあの人いい人やん。」
蓼食う虫も好き好きというから
どうぞお好きに。
趣味悪すぎやけど。