「ふはー…びっくりしただろ‼なんちゅー服装してんだよったく…」
ここは学校内、理科室につながる廊下。私は、ケンジロウ先生の後ろをついて歩いている。ひやりとした雰囲気を放つ廊下は、すごく久しぶりの感覚を私に感じさせる。
「す、すいません、せ…先生」
流石にわたしも恐縮するばかりだ。助けられた今、流石にクズとは呼べない。平謝りするしかない…
「ふん、やっと俺の偉大さに気付いたか小娘!敬え俺を!」
「イヤデス」
「あっ、ひでぇ…」
久しぶりの先生との会話。
この先生のいい加減さが懐かしい。
…聞きたいことはたくさんあるけど。
アヤノのこと。遥のこと。
「あーやって颯爽と出てきてピンチを救ったんだからよぉ…ちょっとくらいソンケーしてくれたってよぉ…」
まだ言ってるのか…この先生は…
「アヤノにもアヤカにもアホみたいっていわれてよぉ…」
私は息が詰まる。
この世界では、アヤノが生きてる。
ここがどんな世界かはわからなくても。
悲劇を回避するために、動くことは、できるのではないか?
「…おい、なにしてんだ、いくぞ!」
先生に急かされる。全く、せっかちなんだから…