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6月8日 13:44  · 

樹木は草花や野菜とは違う。

一度伐ってしまうと元通りにするには何十年以上もかかる。

その間、残された森林は成長しているわけだから事実上は元通りにすることは不可能であるとも言える。

だから収入間伐を含む森林整備には細心の注意、高度な技術、意思の疎通、最終的な目標林型の設定が重要となる。

本件は森林所有者、補助金事業を主管した県、施業主体の森林組合、実際に作業をした作業員、この4者にそれぞれ瑕疵があった典型例だ。

まず施業面において言えばこれはとても間伐と呼べるものではない。

確かに樹高に合わせて伐幅を広く採ることはひとつの技術としてありうるがそれは地形や地質、気候条件や造林樹種によって適用できるかどうか熟慮しなければならないが、この現場がそれに適応していたかどうかと問われればかなり疑わしい。

ましてこの林分はまだ若く、このような手法を採っては残された木の成長にほとんど期待が持てない。

なぜこんなことになったのか、どうせ奥山、所有者も県の担当者も見に来ないとタカを括ったか・・・

そして実際の作業を担当した作業員らからもこのようなやり方に異論が出なかったのかが気になる。

何も考えることなくただ指示されるままにこのような作業を行ったのであれば森林技術者失格である。

今の時代、必要とされるのは十分な知識を持ち将来の山の姿を思い描きながら作業ができる森林技術者であり、ただ木を伐採できるというだけならそんな作業員は要らない。

そして県の担当者と森林組合の事務方はこのような整備方法が本当に適したやり方であったと確信していたのだろうか。

そしてそのことを森林所有者に伝え、充分な意思疎通ができていたのだろうか。

報道を見る限りとてもそうとは思えない。

そして実は問題の根はもうひとつある。

それは当の森林所有者である。

この所有者さん、よく見るとドイツのチェンソーメーカーであるスチールの作業用ウエアを着ている。

この山以外にも所有山林があるようだし、問題の山林も2ヘクタールほどの面積で6000本伐られたというくらいだからまだ造林して間もない林分であろう。

であれば、そこそこの篤林家であるとも言える。

そうであれば自家所有林の整備をすべて人任せにしてそれでよしとしていたというのは本来、森林所有者としての責任を半ば放棄していると言ってもよく少々腑に落ちない。

今回の事態は4者が元々抱えていた問題が運悪く絡み合って発生したとも言えるものであるが、全国的なレベルで見ればどこでも起こりうる話である。

森林というものは必ずしも当事者だけのものではなく、その公益的機能を考慮すれば公共物であるとも言え、いわば市民ひとりひとりの問題でもある。

皆さんの地域でもこうしたことがひょっとしたら横行している可能性が無きにしも非ず。

何かの機会に森へ行くことがあったならちょっと広い目線で山を眺めて見てほしいと思う。

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飛行機に乗ると山にソーラーパネルがどんどん広がっている。

あり得ない!