この日は日帰りだった。
お別れの時間が迫ってきたので、
2次会に参加している方々に
挨拶をし、
彼とも言葉を交わし
お店を出た。
会も同時に
お開きになったこともあり、
ごった返す中での
彼との別れの挨拶は
サッパリとしていて
感情的には不発に終わり
寂しかった。
駅に向かう足取りは重くて、
夜空を見ながら
トボトボ歩いて、地下道への
階段を降りようとした時、
声が聞こえて振り返ると
彼だった。
彼はお別れの挨拶をするために
走って追いかけて来てくれたのだ。
そしていつもの
ノーマルタイプと
腕相撲タイプの
2段階握手。
これで
挨拶は終わりだと思っていた。
んだけど…
彼は
両腕を広げて微笑んでいた。
(ん)
私は
ほぼ無意識に引き寄せられ
笑顔で彼の腕に包まれた。
ただのハグと言えば
そうなんだけど、
予想外の展開にびっくりした。
っていうか、
それ以上に
こうする事が当たり前のように、
反射的な行動を取った
自分に驚いた。