前原誠司国土交通相は9日、国直轄のダム事業について、今年度は、新たに用地買収や本体建設工事などの契約手続きに進まないと述べた。国と水資源機構が建設中の直轄ダムは全国に56あるが、うち48ダムで現段階の工事は行うものの、次の建設段階には進まないことになり、ダム建設が一時的にストップすることになる。閣議後会見で明らかにした。【石原聖】 国交省によると、国直轄の56ダムのうち、すでにダム本体があり、放流能力の増大など維持管理段階にある8ダムは除いた。48ダムはそれぞれ段階は違うものの建設中だが、現段階から▽用地買収▽生活再建工事▽水の流れを切り替えるための転流工工事▽本体工事--の次の段階に移ることは今年度はしないという。 国交省が事業主体のサンルダム(北海道)と平取ダム(同)、水資源機構が主体の思川開発(栃木県)、木曽川水系連絡導水路(岐阜県)、小石原川ダム(福岡県)の5ダム事業では、本体建設に移行する段階だった。平取ダムについては7日に予定された関連工事の開札が当面延期されている。国交省主体の胆沢ダム(岩手県)や設楽ダム(愛知県)などは現段階の工事が継続される。 前原国交相は、道府県が事業主体で国交省が補助している87の「補助ダム」については工事の発注を含む事業の進め方について各都道府県知事の判断を尊重するとしたが、「補助を出すかどうか相談していただくこともある」と述べた。9日、各都道府県に前原国交相の方針を伝える。 国交省は継続中の全143ダムのうち、今年度完成の6ダムと今年度中止となった上矢作ダム(岐阜県)を除く136ダムについて政務三役を中心に見直し、来年度のダム事業の進め方は来年度予算案の提出時までに明らかにする方針。すでに前原国交相が中止を明言した八ッ場ダム(群馬県)と川辺川ダム(熊本県)も含まれる。
中曽根康弘元首相が8日、前橋市の自民党群馬県連本部(県政会館)で「日本政治の将来」をテーマに講演し、建設中止が明言された八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)建設問題について触れ、「(地元の)住民の意思がダム問題では一番大事」と国交省の姿勢を批判した。
講演で、中曽根氏は、長年にわたりダム建設問題で苦しんだ地元住民の歴史などに触れ、「住民が最終的に承知しているなら、それに従うのが本当のやり方。ようやく積み上げたものをもとに戻そうというのは、人情を無視している」と述べた。