9  子視点


「もう年末だよ。どうするの?」


「わかってるよ!黙っててよ!」


そんなのわかってる。


私が1番わかってる。


腹が立つ。


だってママの言うことが図星だから。


その通りだ。


悲しくなる。苦しくなる。


(前は将来の事なんて考えなくて良かったな。


毎日楽しかったな。)


ふと気がつくと、


なんだか懐かしい香りがして目が覚めた。


潜り込んだ布団の中で、


いつの間にか寝てしまっていた。


リビングに降りると


ママが何か作っていた。


「ワッフル食べる?」


(懐かしいな…)


「…食べる」


「イチゴもあるよ。」


そう言ってカットしたイチゴとバナナも


くれた。


ワッフルに乗せてみるとお店みたいだった。


「…美味しい。」


「そう?良かった。」


それからは2人で黙ってワッフルを食べた。


もう12月なのに、


今日はいつになく暖かい。


窓を網戸にして、


満たされたお腹を撫でながら


2人とも大の字で寝転がった。


スーッと風が通った。


(あー気持ちいいな。)


子どもの頃のお昼寝を思い出した。


毎日ママとお昼寝してたっけ。


お昼寝するとママは夕飯の準備をしたり、


洗濯物畳んだり。


いつも家族のためにって動いてくれている。


今日だってそうだ。


私のためにしてくれている。


本当はわかってる。


ママは私のことを思って言ってるって。


(…ごめんね。ありがとう。)


口には出さないけど、


心の中でそう言った。