イサベルとアナベルの自伝、『The Power of Two』(The University of Missouri Press)の日本語版が、2009年9月29日、いよいよ岩波書店から刊行! 幼少時の思い出などを若干削減し、彼女たちが日本の読者のために新たにまとめ直した日本語オリジナル版です。 訳者はあの『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(R.P.ファインマン著、岩波現代文庫)の名訳で知られる大貫昌子さん。なんと、イサベルとアナベルのお母さん有馬肇子(はつこ)さんとは、旧知の友人といいます。日本を飛び出しアメリカで教育学を学ぼうと夢見た若き日本女性が、彼の地でドイツ人留学生と結婚。長男リュウタ(隆太)に続いて生まれたのが、双子の姉妹イサベル(百合子)とアナベル(万里子)だったのです。 この本は単なる闘病記ではありません。聡明な双子のまなざしは、日本という文化背景を持つ母ハツコと、ドイツ人の父ライナーという、共に異国の地で難病の子を抱えた若いカップルの苦労と衝突にも向けられています。また、妹たちに比べどうしても放っておかれがちな、1歳違いの兄リュウタの突然の反抗のことも。そして、日本とドイツの祖父母との思い出など、家族の支え・つながりがあって、自分の命がいまあるということが、強いメッセージとして全体を貫いています。 一方、双子としてのお互いの存在は、必要不可欠の存在でした。本書は幼少時から現在にいたるまでのエピソードを、二人が交互に執筆するスタイルですが、いかにお互いがお互いを必要としていたか、ということがよくわかります。しかし、それゆえの苦悩もあるのです。例えば片方だけにボーイフレンドができ、幸せそうにいちゃついていたとしたら? 例えば片方だけが健康状態がよく、それを眺めていなければならないとしたら? 二人の視点が、同じ病気、同じ家族を、より広い視点から、ユーモラスに描きだします。 長い入院生活での工夫、同じCFを患う子どもたちの夏季キャンプのこと、CFの親友の死、大学生活と恋愛のドキドキ、結婚はしたもののセックスはいっそうの呼吸困難をもたらすし、子どもはどうするか、仕事との両立は……等々、二人の女性の成長物語としてもおもしろい! 肺移植はクライマックスの一つではありますが、それらも彼女たちの人生の一つの要素にすぎないと思えるほどです。 ティーンエイジャーから年配の方まで、病気を抱えていてもそうでなくても、多くの人の心に届く本になりそうです。