桜に対峙する日本の木はなんでしょうか
桜は刹那の命を表現する現世(うつしよ)の木です
うつしよとは時間の流れがあり、隆盛と衰退のある世界です
その中で命あるもの形あるものは、生滅流転することが必然と考えられています
その命が「ぱっ」と燃え上がるように咲き乱れ、「はらはら」と散っていく様を
日本人は刹那の命の体現ととらえたのです
そこに生きとし生けるものや形ある物の「もののあわれ」感じました
それに対し橘(みかん)は不老長寿の実である
非時香木実の成る常世の木と考えられていました。
とこよとは時間の流れがない因果律のない定常な悠久の世界です
ずっと昼で夜の訪れることのない桃源郷のような死後の世界、神の世界とされています
そのため常世の木である橘(みかん)が不老長寿や安寧長寿を齎すものとして
日本人は悠久の命を体現するものとして捉えたのです
そして正月には年神を無事迎えられた、一つ年をとれたと考えお供え餅にみかんをのせました
京都御所(皇室の実家ともいえる)にはこの悠久の命と刹那の命を表現する
左近桜と右近橘(温州みかんの木)が根付いています