どきどきする…

心臓の音がまわりに聞こえてしまいそうなくらい、鳴っている。

 

「ひとりですか?旅行ですか?」

 

えっ、一瞬戸惑う私。

 

「はい。」

 

「あー、よかった。僕これからワーキングホリデーに行くんですよ。」

 

「えっ!!私も!!」

 

となりに座っていた男の子が話かけてきてくれた。

 

私は不安に押しつぶされそうなくらい、きっと今にでも泣き出しそうなくらいだったので、

ケアンズへ到着するまでの間、この子にほんとうに助けてもらった。

 

彼はいろんな身の上話をしてくれた。

どうやって今の彼女と出会って、付き合ったのか、とか

趣味はなにか、オーストラリアでなにがしたい、とか。

 

「僕、お笑い芸人さんが大好きで~。」

 

「今なんと?」

 

「えっ、お笑い…」

 

「わ・た・し・も!!」

 

彼は機内で退屈しないよう、お気に入りの動画を携帯にダウンロードしていた。

そしてふたりの好きな動画が見事一致。

私はほんとうにほんとうにお笑いが大好きなので、

機内で見たあの時間が私を救ってくれた。

 

私はナインティナインが大好きで。

小さいころから一週間テレビ・ラジオをナインティナインを軸に生きていた。笑

 

ナインティナインが大好きな理由は…

私が中学生のときに、ひどいいじめにあってしまった。

もちろん登校拒否をしたし、変なお薬もたくさんのんだ。

(悲劇のヒロインぶるつもりはないので悪しからず。)

私にもいじめられる理由があったと今では思う。

でも、強烈だった。

 

その世界が唯一の中学生にとって、そこに属せないのは本当にことばであらわせられないほど、

きつかった。

誰よりもお母さんがしんどかったと思う。。ごめんね、お母さん。

 

そんなお先真っ暗な時代に、私はお風呂でラジオを聞いていた。

あー学校なんて燃えてなくなっちゃえばいいのに。

そんなとき聞こえてきたのが、岡村隆史さんの声。

「僕たちを見て、僕たちが叩かれているのを見て、

笑ってくれたらそれでいい。

学校でいじめられてる子たちが、笑ってくれて、

その時間だけでもいやなこと全部忘れてくれたら、

それでい。」

そうやって言ってくれた。

あぁ、この人に一生ついていこう。大げさ。笑

そう思った15の夜。

 

そんなことをしているうちにあっという間にケアンズへ到着した。

 

学校のスタッフさん(Cの彼氏さん)が迎えに来てくれるはず。

どこにいるんだろう、携帯はどうしよう、電話できるようにしとかなきゃ、

誰もいなかったらどうしよう、到着ゲートって時間かかるよね…

なんて不安で不安でいっぱいだった。

 

この30分後にものの見事にこの不安がまったくの無駄だったことに気が付く。

壮大なサプライズが私を待っていた。