彼は経営者で、15年の付き合いになる。

最初の2、3年は楽しかったが、13年前くらいからリーマンショック・東日本大震災の煽りを受けて彼の会社の経営状況が悪化して、楽しむどころではなくなってしまった。


彼はストレスを酒や飲み屋街の「賞賛」で流すタイプだったので、連日飲み歩いていた。私を連れて歩き。

ある日、突然私に怒鳴り声を上げた。

すごくびっくりして、頭が真っ白になったことを覚えている。


それからはたびたび私に怒鳴るようになった。

不機嫌をまきちらすようになった。

彼が心穏やかな時にどうして私にそんなに怒るのか訊いた。ストレスだからしょうがないと言った。


私は仕方ないと理解に努めた。

経営者であり300人以上の社員の生活を背負う身ともなればストレスは相当なものだろうと。


10年近く苦しんでようやく危機的状況を脱して会社は60周年を迎えた。


その時彼には恋焦がれる女性がいて、私は蚊帳の外だった。むしろ、私の存在を消すかのように潰しにかかってきた。自分が他の女性と楽しむ時間を確保するかの如く。


10年以上会社のストレスだという不機嫌や怒鳴りを受け止めて私は内省が追いつかず、うつ状態となっていた。


正常な女性なら蹴飛ばしてすぐに別れるんだろう。

私にはそれができなかった。

苦しいながらでも私たちの生活のために頑張ってくれたという恩義が邪魔をして。


そんなふうに彼を思いながらも、私は彼とすごす日々に幸せを感じることはなく、3ヶ月ごとの検診で異常がないと言われると、ガッカリさえしたほどだった。


その「望み」通り、肺に転移した時は、治療を拒否する権利もあったのにそれを選ばず手術を受け、抗がん剤治療をした。


彼に生活はおんぶに抱っこ、何となく治療をし。


彼も私に魅力を感じず他に求めるのも無理はない。


私は彼への恩義で

彼は私を利用するのと、親切心と。


お互い義務感にガンジガラメだったのかもしれない。